梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

グローバリズム

お仕事のお知らせ

www.msz.co.jp ブランコ・ミラノヴィッチの話題作、Capitalism, Aloneの邦訳がみすず書房から出版されました。まもなく書店に並ぶことと思います。なぜか私が解説を書いていますが、目先の米中対立にとらわれず、中国の台頭を許したグローバル資本主義が抱え…

チョコレートの経済学

よい子のみなさん、2月14日は何の日か知っていますか?

アフリカの経済発展と民主主義と中国

民主主義がアフリカ経済を殺す作者: ポール・コリアー,甘糟智子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2010/01/14メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 92回この商品を含むブログ (33件) を見る 出版社よりお送りいただきました。これは稲葉さんのお買いもの思案…

China Safari

China Safari: On the Trail of Beijing's Expansion in Africa作者: Serge Michel,Michel Beuret,Paolo Woods出版社/メーカー: Nation Books発売日: 2009/06/30メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る 台湾で訳された繁体字版(『黒暗大…

NHKの夏

BS世界のドキュメンタリー<シリーズ グローバル化の影で>特に↓この番組は必見かな。コンゴ 鉱物資源争奪戦 前編 BS17月27日 月曜深夜[火曜午前] 0:10〜1:00 コンゴ 鉱物資源争奪戦 後編 BS17月28日 火曜深夜[水曜午前] 0:10〜1:00 世界のコバルト埋…

中国との貿易は「格差社会」をもたらすか

表題のテーマをめぐって、興味深い論争がアメリカの経済学者の間で行われているようだ。 元ネタであるこの記事によると、「中国との貿易(つまりは経済のグローバル化)は国内格差を拡大させる」という立場の代表的な論客としてあげられているのが誰あろうPa…

川島真先生、アフリカを行く

http://shinriji.exblog.jp/d2008-04-03 アフリカのメディアは一般的に中国に辛口だというが、それはおそらく反政府の立場をとるからであろう。反政権、反政府となると中国批判になるのは、中国が政府や政権の中枢に集中的に接近している姿を反映している。…

中国とインドがアフリカを救う

http://www.project-syndicate.org/commentary/zachary5/English The sudden influx of Chinese and Indian technologies represents the “browning” of African technology, which has long been the domain of “white” Americans and Europeans who want t…

プラナブ・バーダン、インドと中国の所得不平等とグローバリゼーションについて語る

http://yaleglobal.yale.edu/display.article?id=9819※参考(Becker&Posner) http://www.becker-posner-blog.com/archives/2007/10/globalization_a_1.html http://www.becker-posner-blog.com/archives/2007/10/globalization_a.html

光文社新書雑感

ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)作者: 樫村愛子出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/08メディア: 新書購入: 7人 クリック: 172回この商品を含むブログ (80件) を見る この本はタイトルにひかれて購入したのだが、…

イースタリーとハイエク

id:deveconさんのエントリで、ウィリアム・イースタリーがオンラインによるプロジェクト援助のシステム、グローバルギビングに好意的に言及していることを知った。実は"The White Man's Burden"asin:0143038826:は前半部だけ読んで理解した気になっていたの…

ビッグイシュー最新号

やはり社会起業家(社会的企業家)は日本においても相当にブームなようで、今日買い物に行った三宮のダイエー前で買った『ビッグイシュー』最新号でもその特集が組まれていた(巻頭スペシャルインタヴューはU2のボノ)。まあ『ビッグイシュー』で社会起業家…

KIVA

9月8日にNHKBSで放送された社会起業家に関するドキュメンタリーで紹介されていた、インターネットを通じたのマイクロクレジット事業“KIVA”のサイト。 http://www.kiva.org/以下はNHKの番組紹介ページより。 “KIVA”(スワヒリ語で"きずな“の意味)は…

消費者運動が強める多国籍企業の影響力

日本では、企業の勝手にさせとくととかく汚いことをして金を稼ごうとするので、「正義」を実現するにはお上が適度に規制したほうがよい、という観念がまだ強い、ような気がする。 しかし、多くの発展途上国では、多少とも名の通った多国籍企業の方が腐敗しき…

食の安全とグローバリゼーション

NHK『クローズアップ現代』でここ2日間ほど中国製食品の安全性やコピー商品という今「旬」の話題をテーマに取り上げていたが、さすがにしっかりしたつくりの番組だった。中国性の食品に問題のあるものが多いことはもはや誰でも知っていることで、そのことを…

イースタリーと世銀との確執

韓リフ先生のところで『週刊東洋経済』に掲載されたサックスのアフリカ援助に関する記事が紹介されている。 中国のアフリカ援助をどう考えるか、という点も難しい問題だが、ここではイースタリーとの「因縁の対決」について若干のフォローを。

なんかアフリカ(の一部の地域)がすごいことになっているらしい件について

エチオピアにおける中国系油田襲撃事件 アフリカにおいて非政治的な経済活動の関与はありえないとする、フィナンシャル・タイムズの割り切り方はやや極端かもしれないが、現実的な認識だろう。 Letter from Ethiopia: China’s risky venture into resource-r…

ネオリベラリズム、この融通無碍なるもの

フランス大統領選挙に触発されてと言うわけじゃないけど・・帝国の条件 自由を育む秩序の原理作者: 橋本努出版社/メーカー: 弘文堂発売日: 2007/04/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 46回この商品を含むブログ (31件) を見る

再び「白人の重荷」について

このところNHK衛星ドキュメンタリーネタが続いていたのは別に経済学のとっつきにくさをカバーしようとしているわけではなくて、単に最近経済学の勉強をしていないのでネタ切れというだけなんですが、われながらいい加減マンネリ気味だと思うのでこのへんで総…

インドの現実より

なかば流行に釣られて、なかば仕事上の必要性からインドについてにわか勉強をはじめているところなので、下のエントリで紹介したドキュメンタリーも毎回録画してみているが、特にBSで放送されたヨーロッパの番組は成長著しいインドの「影」の側面に容赦なく…

インドの児童労働のドキュメンタリー

またNHKのドキュメンタリーの話になって恐縮だが、正月2日に放映されてビデオに撮っていたインドの児童労働に関する番組『仲間たちが希望をくれた:インド働く子供たちの組合』を今日になって観た。これは昨年放送されて反響が大きかったものの再放送のよう…

新春もフェアトレード。

今年最初のブログ更新と言うことで、本当は違うネタで行こうと思っていたのだけど、折角山形さんやfuku33さんからコメントを頂いて議論が盛り上がった(たぶん)ので、どういったところが対立点になっているのかここで改めて整理しておこう。

Tシャツはどこから来たのか?

最近グローバリズム関係のエントリが多かったので書店で目に付いたこの本をあまり期待せずに購入して読んだのだが・・よい意味で期待に反してとても面白い本だった。あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実作者: ピ…

さらにしつこくフェアトレードについて語る(下)。

これは前回と前々回のエントリ、の続きです。また、以下の関連エントリもご覧ください。http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061123 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061125 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061127 正直言って今回はあまり自信ないのでツッコ…

さらにしつこくフェアトレードについて語る(中)。

これは前回のエントリの続きです。また、以下の関連エントリもご覧ください。http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061123 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061125 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061127 さて、自分でやってみてつくづく感じるのはフェアトレ…

さらにしつこくフェアトレードについて語る(上)。

山形浩生さんが訳した一連のフェアトレード関係のEconomist掲載記事スターバックス VS エチオピア http://cruel.org/economist/economiststarbucks.html 倫理的な食べ物はかえって有害かもしれない。 http://cruel.org/economist/economistgoodfood.html 「…

世界のコーヒーの生産量はなぜ減らないのか。

以下は前二回のエントリの続きです。 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061123 http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20061125 ・・さて、今まであまり深く考えずに、世界のコーヒー価格が上昇(下落)すれば、コーヒー農家はそれに対して反応し、生産量を増やす(…

フェアトレード運動のジレンマと意義

前回のエントリid:kaikaji:20061123の続きです。よろしければコメント欄の「政治学者の卵さん」とのやり取りもご覧ください。 さて、前回、フェアトレードによるコーヒー豆の買い付けに経済学的意味があるとすれば、それは「援助」ではなく「生産リスクの消…

まっとうなフェアトレードの経済学

フェアトレード運動については今までどちらかと扱うのを避けていたのだが、前回予告したので、頑張って論じてみる。一般的にはフェアトレード運動も反スウェットショップ運動と同じく先進国の「倫理観」に支えられた理想主義的な運動だと思われがちである。…

ビーズを作ったのは誰?

すでにnetoさんにコメントいただいたが、先日紹介したBS「世界のドキュメンタリー」はどれもなかなか見ごたえのある内容で、また授業にも使えそうで、よかったよかった。 ただ13日に放送された、「首飾りを作ったのは誰? 〜中国 出稼ぎ少女の労働事情〜」に…