梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

2005-01-01から1年間の記事一覧

政治経済の比較制度分析

bewaadさんが12月30日のエントリで紹介されていた、アレンド レイプハルト 『民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36ヶ国比較研究』ISBN:4326301589う。 この問題に関しては、UCBのGerald Roland先生のComparative economicsのリーディング・リスト…

朝日新聞書評委員による「今年の三冊」

青木昌彦氏と加藤千洋氏の二人が『マオ』ISBN:406206846Xる。http://book.asahi.com/review/TKY200512270294.html http://book.asahi.com/review/TKY200512270300.html 出版当時は朝日はこの本をスルーするんではないか、などと勘ぐった方もいらっしゃったよ…

ある芸者の追憶

実は今日は『ミュンヘン』のほかにもう一本、今何かと話題の『SAYURI(英語タイトル'Memories of a Geisha')』も観たのであった。しかし『ミュンヘン』のような重厚で素晴らしい作品を撮りながら同時にこのような(以下略)映画をプロデュースするとはスピル…

MUNICH

町山智浩さんid:TomoMachi:20051206が今年の映画ナンバー1に挙げている『ミュンヘン(MUNICH)』が公開されたので早速観てきた。いやこれは確かに凄いです。日本で公開されたら何をおいても観に行ってください。というかこれが本当に『シンドラーのリスト』…

不確実性の確認から縮減へ:切込隊長の中国経済本についてのメモ

さて今父親がこちらに遊びに来ており、毎日観光に連れまわらなければならないので、なかなかネットに興じるのもままならないわけですが。 頼んで持ってきてもらった山本一郎『俺様国家”中国の大経済』文春新書ISBN:4166604694観光バスの中で読む。うーん、は…

補足

単に「嫁」ですますのもなんなので。

中国、GDP統計を16.8%上方修正

id:ryozo18さん経由で知りました。 http://d.hatena.ne.jp/ryozo18/20051220/1135071068国家統計局による正式発表(中文、英文) マスコミとの質疑応答(中文)参考: 小島麗逸「中国の経済統計の信憑性」(『アジア経済』2003年5・6月) ↑中国の経済統計に…

和みモード。

一時はどうなるかと思われたWTO閣僚会議での韓国農民による過激なデモ。今日の香港紙(『明報』)の報道を見る限り、約1000人が連行された大荒れの一夜が明けた会議閉幕の一日は、「韓国農民数百人が会議場に向かって'We love Hong Kong'あるいは下手くそな…

メモ

柄谷行人氏によるネグリ=ハート『マルチチュード』の書評。 ネグリとハートは、マルクスのいうプロレタリアートは労働者階級のように限定されたものではなく、マルチチュードにほかならないという。初期マルクスの考えは確かにそのようなものだ。その意味で…

1月31日追記

ナム・ジュン・パイク氏が73歳で死去したとのニュースが入ってきた(下の注参照)。NYTの記事を読んでみたが、なぜナムとジュンの間にスペース(日本語では中黒)が入るのかということについては書いていなかった。合掌。 http://www.nytimes.com/2006/01/31…

追記

矢吹先生、早速ツッコミを入れておられます。うーむ。おっしゃることは至極もっともなのだが、すでに「ユン・チアン」が広く流通してしまっているし、どうしたものか*1。とりあえず漢字表記の「張戎」も併記することにするか・・しかし「立ち読み」しただけ…

『マオ』関連本「読んだつもり」ブックガイド

http://cruel.org/other/rumors.htmlより。 ぼくも、読み始めは同じく「おおすげえ!」と喜んでいたけれど、でも最終的な評価はそれじゃ足りないのだ。「マオ」はいろんな資料をあたってよく調べてあるのは事実だが、問題はそれをもとに何を言っているか、で…

Potluch Party

今日はUCBのInstitute of East Asian Studiesのポトラック・パーティ(持ちよりパーティ)があったので、早起きしてちらし寿司(といってもちらし寿司の素をご飯に混ぜただけであるが)を作って参加した。前にも少し書いたかと思うがこのInstituteはその下に…

ナマ林毅夫の夜

今晩は、中国人留学生たちが主催している研究会に参加して、林毅夫(ジャスティン・リン)北京大学教授の講演を聞いてきた。この人の話をじかに聞くのはこれがはじめて。林教授は、もともと台湾生まれで国民党のエリート軍人だったのが、ある時なにを思った…

『マオ』

結局英語で読み通すという野望は挫折し、アマゾンで日本語訳を注文してこの週末をかけて読了。いや、確かに面白いのだが、読んでいるうちにいろいろな意味で陰陰滅滅たる気分になってくる。こういった本は海外の一人暮らしの部屋に閉じこもって読むもんじゃ…

今度は市長が・・

A busy Newsom connects with China's elite われらが知事閣下に続き、サンフランシスコ市長まで中国を訪問。上海市との姉妹都市25周年記念の行事に参加するというのが正式な訪問理由のようだが、北京と香港にも訪れ、多数の政府高官や江沢民にまで会って…

アカロフ先生講演メモ・まとめ編

アカロフ講演メモ、いちおうまとめらしいものを書かないとな、と思いながらどうしようか、と考えていたのだが、気がついたらここでの議論に深く関わってくるようなエントリやコメントがいろんなところで飛び交っているようなので、この際、それらをサルヴェ…

追記

1. 「主催者側発表」の数字について、早速御家人さんがツッコミを入れている。さすが。 2. 朝日の12月6日付の社説はさすがにおかしい。「対中政策への有権者の不満」が今回の民進党の敗北を招き、「国民党は、連戦・前主席の訪中などの融和策を明確にし、多…

主催者側発表−香港の民主化デモのケース−

ベイエリアに住んでいてよいことは、安くてそこそこの中華料理がたくさん食べられることと、各種華字新聞が実に簡単に手に入ることである。バークレーのダウンタウンに中国関係図書の専門の書店があって、そこに行けば『明報』『世界日報(台湾の聨合報の国…

ユン・チアン=ジョン・ハリディ『マオ:誰も知らなかった毛沢東』

思ったより早く翻訳が出た。というかアメリカ版(10月発売)とほとんど同時だな。アメリカ版のほうは、著者が11月初めにUCBに講演に来るということを聞いていたこともあって出てすぐに手に入れていたのだが、それからほどなくして日本語訳がでた、と聞いたと…

追記

ここで出てくるShillerという人はイエール大の教授でbehavioral economicsの中心的な研究者らしい。関心のある方は注目。 http://www.econ.yale.edu/~shiller/ http://www.econ.yale.edu/~shiller/behmacro/

アカロフ先生講演メモ・その4

人民元談義に気をとられて間が開いてしまいすみません。 5.自然失業率仮説 さて、今回は講演ののキモともいうべき自然失業率仮説に関する記述である。自然失業率にに関するアカロフ氏の問題意識は、hicksianさんのところで「公平賃金仮説」をめぐる議論の…

追記2

「円高シンドローム」の正しい理解のために。 http://bewaad.com/20051127.html#p01 http://econ.cocolog-nifty.com/irregular_economist/2005/11/post_9b72.html#c5165670 ぜひご覧ください。

追記

こうして改めて考えてみると、「リフレ派vs.構造改革派」という当初の見立てはやはりあまり適当ではなかったかもしれない。「構造改革派」はこれでいいとしても、「リフレ派」というよりは「均衡成長派」「中国版旧田中派」といったところが適当か。いずれに…

「日本病」の克服と内需拡大政策について

昨日のエントリに関して、bewaadさんから大変参考になるツッコミをいただいた。論点を乱暴に一言でまとめてしまうと、僕が「中国においても構造改革路線とリフレ政策や財政出動を重視する路線は対立するのではないか」と述べたのに対して、bewaadさんの考え…

「日本病」と中国版「リフレ派vs.構造改革派」?

今日はサンクスギビングデイ、だそうだ。しかしキリスト教徒ではないこちとらとしては、いったい何に感謝したものやらちっとも実感がわかない。それどころかそのへんのレストランや商店が軒並みしまって単に迷惑なだけである。と思ったら近くの中華料理屋だ…