梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

2009-01-01から1年間の記事一覧

衝撃の書物

墓標なき草原(上) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録作者: 楊海英出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/12/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (10件) を見る墓標なき草原(下) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の…

「天皇に「私(わたくし)」なし」という神話

少し前のことになるが、事実上胡錦濤国家主席の後継者と目されている習近平国家副主席が訪問し、天皇との会見を行ったことが、天皇が外国要人と会見する際に通常適用される「1か月ルール」に従っていなかったとして物議を醸した。この事件はいくつかの点で非…

最近読んだり買ったりもらったり注文したりしたもの。

お久しぶりです。リハビリのつもりで軽めに更新します。しかし今年は特に中国本が多すぎて本棚に並べるだけでも大変です。 中国 巨大国家の底流作者: 興梠一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/12/05メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブロ…

著名経済学者によるドル-元問題についての最近の発言

引用箇所が適当かどうかは自信がありません。ケネス・ロゴフさん When will China finally realize that it cannot accumulate dollars forever? It already has more than $2 trillion. Do the Chinese really want to be sitting on $4 trillion in anothe…

人民元の切り上げは貿易不均衡の是正に(たいして)寄与しない

Menzie Chinnによるブログ記事より。この記事はリンクも充実していて非常に参考になるのだが、その中の記述より。 If we take the Goldstein-Lardy misalignment estimates of 20% to heart, then a 20% appreciation would lead to an approximately 91.4 b…

NHKスペシャル・新シリーズ

本シリーズでは、文化大国を目指して動き始めた国家戦略、新たなネットワークを築きながら海外進出を果たす中国企業、世界中から集まり再投資されるチャイナマネーにスポットをあて、世界で存在感を増す中国パワーを徹底解剖する。(全3回)。 11月22日(日) …

The Babble in Innner Mongolia

アル・ジャジーラの英語放送は、ときどき面白い中国リポートを報道する。これもその一つ。 内モンゴルはここ数年石油・天然ガスなどの開発が進んで中国国内でも断トツの成長率を遂げているが、ビデオの中のオルドス市も典型的な資源バブルに湧く都市の一つで…

『世界』12月号「さよなら、イリハム」について

遅ればせながら、『世界』に翻訳が掲載された黄章晋氏の「さよなら、イリハム(再見、伊力哈木(鈴木将久訳)」は中国の民族問題を語る上で必読のテキストである。さすがに「この文章を読むために雑誌を買う価値がある」、とまではよう言わんが、少なくとも…

追記

というわけで、このまま「商人道ブーム」というものがもし起きたなら(たぶん起きないだろうが)、↓この名作もぜひ復刊して欲しい(幸い古本は比較的容易に手に入る)黄金の日日 (新潮文庫)作者: 城山三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1982/11メディア: …

商人の倫理、統治の論理

中国ではブロックされて見ることが叶わなかったkokさんのブログの記事より。 同じような“非民主主義国”でも、ロシアには、アンナ・ポリトコフスカヤというチェチェン問題を自らの命をかけて追及したジャーナリストがいる。彼女の暗殺が、ロシアの暗黒部分を…

上海とベルリンの壁

http://akihitok.typepad.jp/blog/2009/10/twitter-fotw-b5.htmlより 今日はいきなりサイトの紹介から。Twitter のつぶやきに「#fotw」というハッシュタグをつけて投稿すると、そのつぶやきが「ベルリンの壁」に表示されて世界中に発信されるというサービス…

属地的自治と属人的自治

http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20090903の続き。塩川伸明『民族とネーション』より再引用。 オーストリア社会民主党の1899年のブリュン綱領は、オーストリアの民主的他民族連邦国家への転化を目標として掲げた。その前提には、属地主義に基づいた民族別地域…

最近買ったり読んだりしたもの

ウイグルの母 ラビア・カーディル自伝 中国に一番憎まれている女性作者: ラビアカーディル,アレクサンドラカヴェーリウス,水谷尚子,熊河浩出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2009/10/15メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 39回この商品…

『財経』をめぐる「旧聞」

http://www.asahi.com/international/update/1020/TKY200910200475.htmlより 【北京=峯村健司】政府批判や高官の汚職に関する調査報道で定評がある中国の有力経済誌「財経」で、社長を含む約60人の社員が大量辞職したことがわかった。同社関係者によると…

ヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書について

http://sankei.jp.msn.com/world/china/091021/chn0910211209002-n1.htmより 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は21日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチで7月に起きた大規模暴動に絡み、多くのウイグル族の男性が当局によっ…

『比較経済研究』特集:社会主義経済体制論におけるブルスとコルナイ

収録論文は以下サイトよりダウンロード可。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaces/page3.htm 昨年秋のコルナイ来日に合わせて開催されたシンポジウムの内容に基づくもの。彼自身の寄稿論文も収録されているが、単なるコルナイ礼賛の特集ではない。読み応えのある論…

福本勝清氏によるアジア的停滞論に関する連載

前回に引き続き、むっちゃ刺激的で面白いです。平野義太郎と大上末広がこのように批判されることに全く異論はないが、だとすると尾崎秀美などはどのように位置づければよいのだろうか?http://www.21ccs.jp/soso/chinateki/chinateki_32.htmlより。 例として…

国家を検閲する市民

http://www.youtube.com/view_play_list?p=AFBF64D7EFC6B169 六十周年慶典無疑將是氣勢恢弘的盛大演出,萬人方陣將步履劃一地踏過廣場,盡情展示這個國家的團結和強大,整齊如一人。不過就在這「萬人如一」的步伐聲裏,我們看到、聽到的都將極盡一致,而其間…

戦う(格好をした)女たち

ふるまいよしこさんのブログより。 国慶節式典ネタが、思った通り、ぼろぼろぼろぼろとTwitterに流れ始めてます。おっと、その前に…今年はとにかく、軍隊でも、民衆グループでも、「オンナ」それも「若いオンナ」が異様にクローズアップされていたように思う…

新中国60年とNHK

BS世界のドキュメンタリー・<シリーズ 中国・建国60年>ハイヒールを脱いだ村官 〜大卒エリートが中国農村を変える〜 10月3日 (土) 午後11:10〜翌0:00山の分校 〜中国・代用教員と子どもたち〜 (再) 10月5日 月曜深夜[火曜午前] 0:10〜1:00さすらう…

中国の異民族支配

(1)、(2)、(3)、(4) 野口信彦氏による連載。とても勉強になる(ただし、記事は下から順番に並んでいるので注意)。ちなみに、野口信彦さんの『シルクロードの光と影』は、そのすばらしい写真も含めて、とてもよい本だ。こういう時期だからこそ、…

China Safari

China Safari: On the Trail of Beijing's Expansion in Africa作者: Serge Michel,Michel Beuret,Paolo Woods出版社/メーカー: Nation Books発売日: 2009/06/30メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る 台湾で訳された繁体字版(『黒暗大…

阿古智子『貧者を喰らう国』新潮社

貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告作者: 阿古智子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/09/26メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (8件) を見る 中国の貧困研究の新しいスターとして注目を集める阿古さんの待望の単著。農村のエイズ感…

趙紫陽の回想録

先週末から資料収集のため香港に行っていたのだが、向こうの書店で購入し、帰りの飛行機の中で読み始めたらあまりに面白くて止まらなくなったのが、趙紫陽が晩年にテープ録音したものをまとめた回想録『改革暦程』だ。 これは香港の書店という書店で必ずおい…

ジェフリー・ウィリアムソン、ラテンアメリカにおける不平等の歴史的推移について語る

http://www.voxeu.org/index.php?q=node/3970 Latin America is much more unequal than Asia and the rich post-industrial nations, and some have argued that high inequality appeared very early in the post-conquest Americas. This column says tha…

慶祝・新中国成立60周年

国家統計局のサイトより。中国語がわからなくても図表を眺めるだけでも結構楽しめるかと思います。輝かしい道のり・偉大なる第一章 閉鎖経済から全方位開放政策への偉大な歴史的転換 経済構造は絶え間なく向上し バランスのとれたものになっている 都市農村…

ウルムチ情勢・その後 

9月に入って、ウルムチの情勢がとても悪化しているようだ。日本でも伝えられた「注射針」事件が原因とされるデモの後、中国政府が徹底した情報規制を行っているので(香港のジャーナリストが武装警察に一時拘束され暴行を受け、問題になっている)、本当に断…

大きな政府/小さな政府の対立を超えて

実践 行動経済学作者: リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン,遠藤真美出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/07/09メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 365回この商品を含むブログ (97件) を見る 邦訳のタイトルはミスリーディングだと思う。確か…

傲慢だけど面白い

傲慢な援助作者: ウィリアム・イースタリー,小浜裕久,織井啓介,冨田陽子出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/09/04メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 55回この商品を含むブログ (27件) を見る イースタリー先生の最近の発言、特にネットでのそれ…

六本木ヒルズで艾未未展を見たゼ!

この週末、仕事で東京に行く予定があったのでその足で六本木ヒルズの森美術館でロングランで開催されている艾未未(アイ・ウェイウェイ)展を見にいった。しかし来てたのはカップルばっかりだぜ! 艾未未という人はとても興味深い人で、改革開放後反体制的な…