梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

ウルムチ情勢・その後 

 9月に入って、ウルムチの情勢がとても悪化しているようだ。日本でも伝えられた「注射針」事件が原因とされるデモの後、中国政府が徹底した情報規制を行っているので(香港のジャーナリストが武装警察に一時拘束され暴行を受け、問題になっている)、本当に断片的な情報しか伝わってこないのだが、中文のtwitterなどをつぶさに見ている限り、王楽泉共産党書記の更迭が伝えられ、政府が自体の沈静化を発表した後も、民族の対立感情を背景とした暴力事件は後を絶っていないようだ。

 中でも、新疆法制報の元記者ハイラット・ニヤズ氏が、穏健派のウイグル知識人として知られ、7月5日の事件のあと拘束された(その後釈放)イリハム・トフティ氏の主催するウェブサイト「ウイグルオンライン」に寄稿した文章が、9月以降の緊迫した情勢の中で漢族・ウイグル族双方がお互いに抱いている憎悪が連鎖していく様子を生々しく伝えているので、とりあえずリンクを張っておきたい(この記事はあちこちに転載されている)。中国語で恐縮だけど、あまり下手に要約して誤解を招くことは避けたいので。
http://www.uighurbiz.net/bbs/viewthread.php?tid=226814

 ハイラット・ニヤズ氏は、イリハム・トフティ氏と並んで漢語で積極的に発言している穏健派のウイグル人であり、6月26日の広東省韶関でのおもちゃ工場での事件の後、当局に対して民族対立が生じる可能性について警告したことでも知られている*1