梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

政治経済の比較制度分析

 bewaadさんが12月30日のエントリで紹介されていた、アレンド レイプハルト 『民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36ヶ国比較研究』ISBN:4326301589う。

 この問題に関しては、UCBのGerald Roland先生のComparative economicsのリーディング・リストが参考になりそうなので、とりあえず紹介。
http://emlab.berkeley.edu/users/webfac/groland/e260a_f05/260asyllabus.pdf

 Roland氏は青木昌彦氏などと共に比較制度分析の中心的な研究者の一人なので、ある政治・法制度がどのような経済制度と結びつくとどのような経済パフォーマンスの違いとなって現れるか、ということがメインの関心となる。授業中に扱われたトピックとしては、

コモン・ローとシビル・ロー
小選挙区制(多数決式)と比例代表制(コンセンサス式)
・株主優遇と労働者(従業員)優遇
・直接金融中心と間接金融中心
・民主政と寡頭政治
・文化の果たす役割

 などなど。

 レイプハルト教授もずっとカリフォルニアで活動してきた人のようだが、ウィキペディアの説明にもあるように、「アメリカ合衆国カリフォルニア州は、コモン・ローに基づく法体系を有しているが、大陸法圏流の法典化がなされている」ということなので、特にこういう議論が活発に行われる土壌があるのかもしれない*1。個々の議論に関しては、また機会があったら紹介します。
 ・・ということで2006年もしばらくこんな感じでいきますが、どうぞよろしく。

*1:bewaadさんによると、「レイプハルトの結論はコンセンサス型民主政の方が政策の内容も優れている」ということだが、英米圏におけるこういった議論は一般に「ウェストミンスターモデル」を称揚するものが圧倒的多数はに思えるだけに、それに対する反骨精神というかバランスをとろうという姿勢が西海岸では伝統的なのかと思ったりもする。あくまでも印象ですが。ちなみにRoland先生も大陸ヨーロッパ(ベルギー?)から来られた方です。