梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

2007-01-01から1年間の記事一覧

佐藤卓巳・孫安石編『東アジアの終戦記念日』ちくま新書

前著『八月十五日の神話』はあちこちで話題になった力作だったが、日本の「8月15日神話」と対比されるべき周辺国の終戦記念日の説明について、若干の疑問点も提起されていた(id:kaikaji:20050912)。恐らくこういった批判を踏まえてだろう、佐藤卓巳氏が戦…

追記

池田信夫先生ご推奨。

小林英夫『日中戦争』講談社現代新書

さて、前に加藤陽子さんの本を紹介してから随分間が開いてしまったが、また日中戦争がらみで。といってもこちらは一応満州事変からの動きもフォローされているものの、その焦点はどちらかといえば開戦から戦線が次第に泥沼化していく過程に当てられている。…

優等生だったはずなのに・・

満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)作者: 加藤陽子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06/20メディア: 新書購入: 3人 クリック: 66回この商品を含むブログ (49件) を見る 岩波新書は新赤版になってから重量級の作品が増えたよ…

牛肉拉麺をめぐる闘い

中国のポップカルチャーを研究している方のブログでつぎのような記述を見つけた。 ここしばらく、中国で話題になってるのが、牛肉拉麺です。牛肉出汁の胡椒のたっぷりきいた透明スープに、細めの延ばした麺のアレです。甘粛の省会・蘭州が本場で、中国全国何…

テッサ・モーリス-スズキ『北朝鮮へのエクソダス』

すでにあちこちで高い評価を受けているけど、改めてこれは名著だと思う。北朝鮮問題について左派の立場から書かれたものとしては、全くアプローチは異なるけれど、脱北者の問題を扱った石丸次郎氏のルポルタージュ、『北のサラムたちasin:4901873016』と相通…

名目国防費の伸び

2007年版防衛白書が発表されたということで、新聞各紙がその内容を報道している。まあ、それはいいとして・・気になったのは7日付の日経の記事における以下の記述。 中国と台湾に関する分析は昨年より4ページ多い15ページにわたり詳述。名目上の国防費が過去…

アジア通貨危機から10年ということで

日本の新聞も盛んに特集を組んでいるようですが、とりあえず英文ブログで目に付いた大御所による総括をクリップしておくことにします。スティグリッツ http://commentisfree.guardian.co.uk/joseph_stiglitz/2007/07/the_asian_crisis_10_years_lat.htmlアイ…

米下院外交委員会の決議案をどうみるか

http://kok2.no-blog.jp/tengri/2007/06/post_be0f.html http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/e/99178ff0f956030cb2d94c6df6a438f5

イースタリーと世銀との確執

韓リフ先生のところで『週刊東洋経済』に掲載されたサックスのアフリカ援助に関する記事が紹介されている。 中国のアフリカ援助をどう考えるか、という点も難しい問題だが、ここではイースタリーとの「因縁の対決」について若干のフォローを。

中国の児童強制労働・続報

これまでも中国の経済発展の「影」の部分に焦点を当てた刺激的な報道を行ってきたNYTのハワード・フレンチ記者が、先日世界中で報道され衝撃を与えた山西省の「奴隷労働」レンガ工場に関して続報記事を書いている。 'Ideals and reality conflict on Chin…

鈴木謙介氏のウェブ民主主義論

ウェブ社会の思想 〈遍在する私〉をどう生きるか (NHKブックス)作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2007/05/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 8人 クリック: 111回この商品を含むブログ (132件) を見る 鈴木謙介さんのグローバリゼーシ…

(過去の)植民地支配が経済不平等に与える影響についての実証研究

http://neweconomist.blogs.com/new_economist/2007/06/colonialism.htmlより。ドラフトが以下で入手可能です。 http://www.socialsciences.man.ac.uk/economics/research/EDP-0543.pdf

元・ドルレートと米中経済(by Menzie Chinn)

http://www.econbrowser.com/archives/2007/06/the_treasury_re.html Despite the difficulty in establishing misalignment, I do think it's in China's own best interests to allow a faster currency appreciation -- as opposed to the current policy…

中国の株式市場についてのThe Economistの分析

いやあ、やっぱりThe Economistは素晴らしい。 中国の株式市場の過熱振りについては、日本国内においても、活字・ネットを問わず数多くの分析が出されている。しかし、5月26日付けのThe Economistの中国株式市場に関する記事The great wall of moneyほど、簡…

アメフラシ

さて、毎回力作ぞろいで歴史に残る名シリーズの予感もするNHKスペシャル『激流中国』だが、中国北部の水不足を扱った今回も見ごたえのある内容だった(なんかこればっかり言っているような気もするが)。ただ「南水北調」に対する検討など水不足問題の全体像…

だめだこりゃ

内田樹氏の『街場の中国論』が店頭に並んでいる。以前のブログでの記述からある程度予想できたことではあるが、はっきり言って全くお勧めできない内容である(よってリンクは貼らない)。「儒教圏のすすめ」「専門家批判」など、本書の主張の是非については…

今月のNHK

2007年6月10日(日) 午後9時〜9時49分 総合テレビ 激流中国 北京の水を確保せよ〜しのびよる水危機〜やはり水は大事だということで。

中国の産業・企業論、ちょっとしたブーム?

http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20070531 http://bewaad.com/2007/05/31/138/ http://bewaad.com/2007/06/04/147/ http://d.hatena.ne.jp/econ-econome/20070608 http://rodrik.typepad.com/dani_rodriks_weblog/2007/06/how_does_china_.html 僕自身には…

経済学とアイデンティティ(by Akerlof)

http://neweconomist.blogs.com/new_economist/2007/05/george_akerlof.html まとめとして便利なページ。 講演を聴いたのがもう随分前のような気が。

China's growth: headed for a car crash?

http://neweconomist.blogs.com/new_economist/2007/05/car_crash.html タイトルはあくまで比喩で自動車産業とは直接関係ありませんので念のため。UC DavisのWing Thye Woo が中国経済が直面するリスクをハード面・ソフト面・資源供給面から分析。資源供給面…

島耕作もびっくり!なぜ中国企業が作るものはこんなに安いのか

『クーリエ・ジャポン』6月号に掲載された山形浩生さんの記事で、Economist誌の中国系自動車メーカーについての記事が紹介されていた。まあ一連のコピー製品を揶揄するような内容なんだが、それにしてもいくらコピーしているからといってどうしてそんなに安…

為替制度の自由化か政治介入の排除か

最近発表された中国の金融政策に関する日銀のワーキングペーパー(以下、WP)が評判になっている(例えばこちらやこちら)。 このWPの分析によれば、現在中国政府が採用している金融政策レジームとは、(対ドル)為替レートの上昇圧力を緩和するために低金利…

中国ウォッチという難題

中国という大難作者: 富坂聰出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/04/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る 現在中国北部の農村は深刻な水不足に見舞われているというが、日本では中国をネタにした本は相変わらず洪…

なんかアフリカ(の一部の地域)がすごいことになっているらしい件について

エチオピアにおける中国系油田襲撃事件 アフリカにおいて非政治的な経済活動の関与はありえないとする、フィナンシャル・タイムズの割り切り方はやや極端かもしれないが、現実的な認識だろう。 Letter from Ethiopia: China’s risky venture into resource-r…

矢吹晋『激辛書評で知る中国の政治経済の虚実』

激辛書評で知る 中国の政治・経済の虚実作者: 矢吹晋出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2007/05/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (7件) を見る いただきもの。かつて『マオ』がらみのエントリを調子に乗っていくつか書き散ら…

「厳原閥かもしれない・・いやそうに違いない症候群」

神聖喜劇 (第1巻)作者: 大西巨人,のぞゑのぶひさ,岩田和博出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 60回この商品を含むブログ (52件) を見る 先日、マンガ版『神聖喜劇』(が手塚治虫文化賞(「新生賞」)を受賞した。 h…

高橋伸夫『党と農民―中国農民革命の再検討』

これは、1930年代の、福建省南部および湖北・湖南・安徽における共産党根拠地における党活動の記録をひたすら丹念に読み込んでいくという、非常な地味な専門書だ。しかしそこから浮かび上がってくる当時の「党と農民」との関係は、現代の中国と共産党の関係…

5月の番組案内(選択に偏りあり)

激流中国青島 老人ホーム物語 2007年5月6日(日) 午後9時〜9時49分 総合テレビ ミャンマー オーストラリア人記者は見た 5月6日 日曜 午後10:10〜11:00 BS世界のドキュメンタリー 新シルクロード 激動の大地をゆく(全7集) 第2集 シバの女王の末裔たち 2…

本日の日経『経済教室』より。

東アジア上場企業データベース(日本経済研究センター) http://www.jcer.or.jp/report/asia/detail3582.html