梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

上海より

 もともと海外では更新しないようにする方針だったのだが、海外に出かける谷間の時間というのは限られた時間の中でいろいろ予定を詰め込むためほとんど身動きができず、いい加減ネタもフラストレーションもたまっているので、こうやって合間を見て小出しにすることにする。今回は中国地場企業ばっかりを回るので、本当は頭を中国語にしないといけないのだが。それにしても飛行機から出たらむちゃくちゃ寒かったのにはびっくりした。
 
 さて、一部のチナヲチサイトを除いては今のところ日本でほとんど注目されてないようなのだが、日本に対する民事訴訟を通じた戦後賠償請求運動や魚釣島返還運動を組織してきたことで(中国では)有名な童増氏をはじめとする反日活動家・知識人を日本に招いて秦郁彦桜井よしこなど保守派の論客と対決させようという企画があるらしい。

http://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/e26c1868d1e48862b33c4523a932ec14

http://blog.goo.ne.jp/aquarellisute/e/845fe5630647dce4b97ea20486045b4c

http://news18.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1110446458/l50

 で、この話は中国の中では結構盛り上がっているようで、今日買った『南方週末』にも童増氏のインタヴューが「舌戦東京(恋戦沖縄のもじりか?):俺たちには13億の中国人民がついてる」というコピーをつけて紹介されていた。基本的には上であげたブログで紹介されているのと同じような内容だが、秦さんを「日本の代表的な右翼歴史家で一貫して南京大虐殺の存在を否定している(してないって)」などと紹介したり、相変わらず中国メディアによる日本報道が一面的なのにはトホホであるが、その一方で彼ら「憤青反日青年)」を単に「見世物」にするためだけに日本に呼ぼうとしている文春もどうかと思う。おそらくお互いの誤解を深めレッテルを張り合うだけの不毛な結果に終わるだろう。確かに雑誌の売れ行きは上がるかもしれないが、この企画から長期的に見て有益なものは何も残るまい。やれやれ。 
 というわけで童増氏やその仲間たちの主張や、現在の中国社会における位置づけについてちゃんと知りたい人は、おなじ文春でも『諸君』に載った富坂聡氏や水谷尚子氏によるインタヴュー記事を読みましょう。