梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

済南より

 上海は立ち寄っただけで今朝の飛行機で今回の調査地である山東省の済南に入る。済南のホテル状況は上海に比べて格段によい。一般に田舎に行くと値段は安いものの設備やサービスの点で劣るものだが済南では設備やサービスでは上海の最高クラスのホテルに引けをとらないようなホテルにほぼ半額に近い値段で泊まれる。ネットもつなぎ放題だ(上海では有料)。青島や煙台に比べて日系企業の進出は非常に少ないが、もう少し増えてもいいのではと思う。去年のサッカーアジアカップの騒動のときでも済南の反応が一番おとなしかったし。

 先日のNHKスペシャルで中国のコンビニ戦争がとりあげられていたが、そこで中国資本の大手コンビニ「好徳」が、ファミリーマートを初めとする外資系コンビニの洗練されたサービスに、近郊の農家から仕入れた新鮮な卵と米の販売で対抗(?)する姿が紹介されていたので、上海で早速入ってみたところ本当に店の入り口に近いところに卵(ただし日本のようなプラスチックのパックはないのでビニール袋にごろごろと入ったものを目方を量って売る)が無造作に置かれていたのが面白かった。
 コンビニに限らず、上海におけるデパート地下食料売り場などサービス産業の「日本化」はもはやとめられない勢いで進んでいる。そこで起こっている現象は「資本主義化」でも「アメリカ化」でもなく「日本化」という言葉が一番しっくりくるように思えるのだ。「にもかかわらず」反日がおきているのか「だからこそ」反日に走るのか、それは今のところ何ともいえない。そもそもそういった現象が起きているのは上海に代表とされる一部の地域にしか過ぎない。
 しかしNスペでも描かれていたように、いかにも国有企業をリストラされたおばさんたちが洗練されていないないサービスを提供してくれるこういった国内資本のコンビニが、外資の攻勢に対してどのくらいしぶとく生き残っていけるか、といったところに、案外上記のような消費社会の変容とナショナリズムとの問題を考える上でのヒントも隠されているかもしれない。