梶ピエールのブログ

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青島より報告

 今日でようやく調査終了。今回の調査の目的は主に地元の私営企業を回って資金調達や企業間信用の実態を調べるという自分で言うのもなんだが非常に地道な作業で、まあ協力者に恵まれたこともあってなかなか面白い話が聞けたのだが、そこからどれだけ一般性のある議論ができるかどうかが難しいところ。
 終わってほっとしているのは調査自体よりも毎回の企業訪問のたびにつきあわされる酒宴である。少し中国に詳しい方ならご存知と思うが山東省は中国でも有数の酒飲み省なのだ。なにしろビールを飲むときでも、彼らは料理をつつきながら酒を味わうということをしない。というか自分が好きなときにグラスに口をつけるということが許されないのだ。飲みたいときは必ず何か理由をつけて特定の相手もしくは全員に杯をささげ、中国式の乾杯(グラスの半分もしくは全部を干す)をしなければならない。それが宴の終わりまで延々と続くものだから、最後にはこちらの胃のほうが持たなくなる。もちろん中国のどこでも乾杯の習慣はあるが、ここまで徹底しているのを経験するのは始めてである。今回は試していないが、彼らはおそらくワインを飲むときでも同じような飲み方をするであろう。フランス人が見たら腰を抜かしそうだ。

 さて、おそらく世界最大の中国反体制運動のサポート紙(にして法輪功の広報紙)である『大紀元』の日本語サイトができたというので(http://www.epochtimes.jp/)、早速青島のホテルで試してみたところ、今のところは問題なくアクセスできた。ちなみに、中国語(簡体字繁体字)、英語、フランス語、ドイツ語は全部だめ。韓国語はOK。ただこれはサイトの開設がまだ間もないからで、日本語サイトももうすぐつながらなくなるだろう。

 また「大紀元」を中文版ヤフーで検索しても規制がかかっており一件もヒットしない。こういった中国語の検索エンジンでヒットしないように規制されている用語はほかにもいくつかあって、以前Jonah_2さんのところ(id:Jonah_2:20050123)で紹介されていたように趙紫陽の死後は彼の名前も規制の対象になっている。中国における情報規制を鋭く告発した何清漣『中国の嘘―恐るべきメディア・コントロールの実態』によれば、これは中国政府による「金の盾」と呼ばれるネット検閲システム導入の成果であるらしい。ただし、何清漣氏は著作の中で「私自身のの名前も検閲の対象にされているのよ!」といきまいていたが、実際にはヤフーで普通に検索できるのだが・・

 またこれもすでに指摘されていることだがが、政治関係のサイトや用語が厳しく規制れている一方で、本来は規制の対象になっているはずの「エロ」関係のサイトや用語(たとえばSM=虐恋とか)が全くのスルー状態になっているのは笑える。技術的には可能なのだからポーズだけでも規制するふりをしてもいいと思うのだが・・
 まあ、中国のネット規制および何清漣の本についてはいろいろ考えさせられることが多いので、また機会を改めて書いてみたい。