- 作者: 岡本隆司
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: 単行本
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快著『近代中国史 (ちくま新書)』が絶賛発売中の岡本隆司さんが編者となり、なんと古代から現代までの中国経済史を概観しようという野心的なテキストが出版されました。
以下は名古屋大学出版会のサイトより。
現在だけを見ていては中国はわからない。世界経済の中核であり続けたダイナミックな経済、しかし経済学の標準理論では歯が立たない。そのしくみを歴史から解き明かし、中国経済が今日抱える矛盾の由来をも示す。先史時代から改革開放までを一望する、わが国初の画期的通史。
で、なぜか私が近現代の部分を(加島潤氏と共同で)担当しています。いちおう「経済学の標準理論(?)」を分析のツールとして研究を行ってきた人間が上記のようなコンセプトのテキストを執筆してよいのか、と自問しないわけでもありませんでしたし、実際書くにあたってかなりの文献を読み込まなければならなかったので大変でしたが、その分非常に勉強にもなりました。お陰で、今回の仕事を通じて現代中国の問題を見る際に、どのような場合に社会科学の立場から眺め、どういった場合に歴史学の方に視点をずらせばいいのか、ということが、何となくですがわかりかけてきたような気がします。
中国の経済史というと一般的にとっつきにくいイメージがあると思いますが、本文に匹敵するような分量の用語解説(テーマ)が章ごとにまとめられているなど、構成にも工夫がこらされています。特に序章は岡本イズムが全面的に展開されており、『近代中国史』の読者であればかなり読みやすいのではないかと思います。
個人的には、中国史の専門家だけではなく、高校の世界史で両税法とか一条鞭法とか暗記させられたけど何が何だか分からなかったと言うような人(私もそうでした)にこそ一度手にとってもらいたい、という気がしています。