- 作者: 藤井仁子
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本
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少し前にご寄贈いただきました。ご紹介が遅れてすみません。このブログにも何度かコメントいただいた鷲谷花さんが、オリバー・ストーン監督の『ワールド・トレード・センター』を、それまでのハリウッドの「パニック映画」において支配的だった「カタストロフィの乗り越えを通じた差異と齟齬の融和」というモチーフがもはや成立しなくなった9.11以後のアメリカ社会において、個人間の経験の「断絶」の乗り越えはいかにして可能か、という困難な課題に取り組んだ作品として評価する、意欲的な論考を寄稿されています。
このほか個人的には、「ハリウッドの伝統的手法の踏襲とそこからの意識的な逸脱」との微妙なバランスの上に作家性と娯楽性を両立させてきた「ハリウッドのイエロー・フェイス」李安(アン・リー)の特異性を、『いつか晴れた日に』から『ブロークバック・マウンテン』までの作品を通じて詳細に論じた韓燕麗さんの論考を興味深く読ませていただきました。