もう一つの金融システム 近代日本とマイクロクレジット [ 田中光 ]
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同僚の田中光さんからご恵投いただきました。日本の金融システムの分析というと、寺西重郎氏による分析に代表されるように「直接金融中心でレッセ・フェール的な戦前システム」と「間接金融中心で政府規制の大きい戦後システム」を対比させ、バブル崩壊後を後者の戦後システムが崩壊して迷走する課程として描くというものが一般的だったかと思います。田中さんの研究はその従来の分析枠組みではあまり取り上げられなかった郵便貯金や産業組合といったいわゆる「地場金融」のシステムが以下に形成され、また戦前から戦後に受け継がれていったかを丹念な資料分析を通して骨太に描き出したものです。後進工業国としての日本が工業化資金をどのように調達していったのか、そこでの政府の役割や中央と地方の関係はどのようなものだったのか、といった大きな問題をとらえる上でも有益な視点を提供してくれる力作だと思います。