2月15日(月)発売の、『週刊東洋経済』2月20日号のコラム「中国動態」に「日銀マイナス金利政策は中国の軟着陸を助けるか」という記事を寄稿しました。現在の人民元相場が不安定化している最大の原因は、ドルペッグが持続不可能になる中でそれに代わる通貨バスケットへのペッグが十分な市場の信認を得られていないところにあると考えています。通貨バスケットの構成通貨として円はかなりの比率を占めていますので、マイナス金利政策と合わせて日銀が追加金融緩和の姿勢を明らかにすることで円安基調が進めば、人民元が参照する通貨バスケットがドルに対して減価をする合理的な理由となり、ひいては過度の元売りを押さえて軟着陸を助ける要因になるのではないか、と考えていました。
しかし正直なところ、記事を書いた時はこれだけ急激に円高が進むとは予想していませんでした。こうなってくると通貨バスケットへのペッグがどれだけ合理的な政策なのか、という根本なところも揺らいできます。ここしばらくの通貨を中心とした世界経済の不透明性はそのまま人民元相場の不安定性にはねかえってくることでしょう。先日周小川人民銀行行長のロングインタヴューが公開され、話題になっていますが、しばらくは各国の金融政策トップの一挙手一投足(および、個々の発言がどのように相互に関連しているのか)から目が離せない情況が続きそうです。