梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

2010年夏休みの宿題

 さて、よい子の皆さんはもう新学期が始まっていますね。夏休みの宿題はちゃんと8月中に済ませられたでしょうか?さて、僕のほうもここしばらくは夏休みの宿題の完成に追われていて、ブログとかtwitterとかをやる時間がありませんでした。宿題にはいろいろな種類のものがありまして、旅行に行ったことを絵日記に書く(調査報告のまとめ)ことなどは楽しいのですが、なかでもてこずっていたのは英語(英文和訳)の宿題でした。課題として出されたのはこういう本です。

Economic Systems Analysis and Policies: Explaining Global Differences, Transitions, Developments

Economic Systems Analysis and Policies: Explaining Global Differences, Transitions, Developments

 普通、夏休みの宿題は9月1日に出すものと相場が決まっていて、締め切りの延長とかはないはずですが、僕の場合は夏休みと同じく8月31日までに出さないと思い込んでいたのは勘違いで、実際の締め切りはその2週間もあとでした。しかし人間というのは困ったもので、いったんテンションが切れてしまうとなかなかもとの刻苦勉励の状態には戻れないもので・・というわけでなかなか集中力が続かないので、逃避気味にこんな文章を書いているわけです。

 さて、エジプト生まれでスーダンの大学で学位を取り現在オランダの大学で教鞭をとるユダヤ人経済学者の手になるこの本。なぜ僕なんかに翻訳の依頼が来たのか、という点はまあおいといて・・

Universalistic economic behaviour often drives countries to adopt one particular economic system. However, it is arguable that theoretical foundations and empirical evidence should be matched to allow for distinct behaviours of higher societal orders. Systemic differences arise from distinct sociological, political and economic behavioural-motivational types that associate with household, state and firm settings. This book is a meeting point between economic systems and development economics, offering theoretical foundations and empirical evidence that support the persistence of distinct systemic behavioural differences and developments. The book aims to explain global differences, transitions and development, and classifies systems and countries into behaviourally dominated types, treating rich industrialized countries, transition economies, and world developing regions separately. With coverage of all major regions, this book is essential for all looking for a comprehensive analysis of economic systems worldwide.

 これだけではよくわからないかもしれませんが、社会会計行列(SAM)を主要な分析ツールにして、先進国の経済政策と旧社会主義国の移行政策、そして発展途上国の開発政策、までを統一的に論じようという、すさまじく壮大なスケールのものです。スケールが壮大すぎて、僕が訳しているところだけでも突っ込みどころがありまくりで、だかなかなか進まない・・というのは単なる言い訳ですが、全体として記述が冗長なところもあるものの、少なくとも僕が担当しているところは結構面白いので、また機会があれば紹介したいと思います。うまくいけば来年あたり某大手出版社から翻訳が出るはずです・・って他人事のように言ってないで、きちんと宿題を終わらせなくちゃ。