- 作者: 細川呉港
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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日本でも、これまで内村剛介や石原吉郎の著作、あるいはミュージカル『異国の丘』やNHKスペシャルで放送されたドラマ『望郷』など、旧ソ連での収容所(ラーゲリ)体験を描いた回顧録やノンフィクションが数多く発表されてきた。
しかし、旧満州国の領土に組み込まれたモンゴル人居住地区に生まれ、ハルピンの大学を卒業した後国共内戦期に留学先のモンゴル人民共和国で突如逮捕・拘留され、その後30数年にわたりモンゴルのラーゲリと内蒙古・青海省の労働改造所を転々としたこの本の主人公の体験は、その過酷さといい、彼を取り巻く政治状況の複雑さといい、まさに想像を絶する。
モンゴル民族と言う「強国のはざま」で翻弄され続けた人々の現代史について知るとともに、民族問題の難しさと恐ろしさを考える上で、よい本だと思います。