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シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

シベリア抑留とは何だったのか―詩人・石原吉郎のみちのり (岩波ジュニア新書)

 『信濃毎日新聞』の連載記事が単行本化されたもの。著者はもともとハンセン氏病の問題など当事者へのインタヴューを通じた社会派のノンフィクションを手がけてきた人で、文学・思想的な衒いがない分「ラーゲリ入門」としても、あるいは「石原吉郎入門」としてもとてもわかりやすく書かれている。この本をお贈りいただいたいきさつについては、こちらをご覧ください。

 しかし岩波ジュニア新書とは渋いなあ。なかなかいまどきの高校生にピンと来るようなテーマではないと思うのだけど・・ただ、例えば隣国の人工衛星打ち上げに日本の為政者やマスコミがひたすらヒステリックで被害者的な反応をしている状況の下で、本書にも引かれている(165ページ)「《人間》はつねに加害者の中から生まれる」といった石原の言葉は、ますますその輝きと重みを増してきている、ということは言えるだろう。