梶ピエールのブログ

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中国の環境問題に関するドキュメンタリー

今晩(12日)放映されたBS「世界のドキュメンタリー」イギリス・グラナダTV製作の中国の環境問題に関するドキュメンタリーだったが、とても丁寧な作りで参考になる内容だった。中国有数の汚染地帯である淮河流域の「ガンの村」の紹介、三峡ダム流域の生態系の破壊と住民立ち退き問題、などの既に広く知られた内容に加え、西部大開発の目玉プロジェクトに一つである「南水北調」が環境保護の観点から点が極めて問題の多いものであることが鋭く指摘されているのも興味深かった。

 番組では、政府関係者の見解のほか、戴晴など政府に批判的な人たちの見解がわかりやすく対比させられていたほか、公害のひどい地域に暮らす農民の実態、いかにも頼りなさそうな地方政府の役人の様子などもきちんとカメラに収めている。なによりも評価したいのは、時に苦しい立場に立たされながらも、ひどい環境汚染の状況を自分達でなんとかしなければ、と真摯に問題に取り組んでいる研究者やジャーナリストが中国国内にも一定数存在すること、しかしそれらの人々の意見は現実にはなかなか生かされないこと、が共感をこめて描かれていた点だと思う。といわけで個人的にはイギリスのテレビ局の底力のようなものを感じた次第。明日以降も期待が持てそう。