梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

農産物貿易自由化と貧困削減

サックスが『貧困の終焉―2025年までに世界を変える』で農産物の貿易自由化に触れ、途上国の経済発展のために基本的には望ましいことだとしながらも、すぐに次のような留保を付け加えているのだが(395ページ)・・うーむ、この議論はどの程度妥当なのだろうか。

一方、アフリカを初めとする世界中の後発開発途上国の全てで農産物への補助金の廃止がプラスに働くと思うのは間違いだ。ヨーロッパが主要作物(小麦やトウモロコシ)への補助金を削減すれば、アフリカにとってマイナスにこそなれ、プラスにはならない。アフリカは純食糧輸入地域なので、農家が利益を上げる一方で、消費者は値上がりした食品を買わされることになるからだ。貧困への効果はプラスとマイナスの両方が考えられるが、プラスにしてもそれほど大きいとは思えない。