梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

中国国内のイデオロギー対立を読む

書生くんのブログより。
http://d.hatena.ne.jp/shosei-kun/20060501/1146514151

 大変面白いです。特に図3はなかなかの力作だと思います。
 ただ、この図だとなぜ「胡さん」の一派と「江さん」の一派がそんなに仲が悪い(ということに一応なっている)のかが判りにくいような気もするが・・まあ、「胡さん」と「江さん」の耳目を集めやすい対立の構図にあまり気を取られすぎるのも考え物だ、ということだろうか。

しかし、こうして見ると第四象限に軸足を置く勢力とかイデオロギーって無いな。敢えて言えば軍部のアレな人たちが一番近いが・・・

 一時期は何清漣なんかが貧富の格差拡大を批判しながら政治の民主化を訴えていて「自由主義左派」などと呼ばれていたのだが、確かに今はこの立場から発言する有力な論客はあまり見当たらないかも。秦暉なども最近の発言はむしろ新左派に近い感じだし・・

ただ、ここで「新自由主義」にくくられている人達(具体的には、いま中国のネット界で話題沸騰のこの会議に呼ばれたような人たち)が全て構造改革マンセー、格差拡大上等、のシバキ主義の人たちばかりかというと必ずしもそうではなくて、中には金融政策の重要性を十分に認識している人たちや、ある程度の格差の是正を認めている人たちも相当数含まれているように思う。ただ、よりスムースな市場メカニズムのもとで今後も経済発展を続けていくためには、財産権の改革が不可欠だと言う点では一致しているようだ。このため反対派から否定的なニュアンスを含めて「新自由主義」というレッテル張りが行われている、というのがより現実に近いかもしれない。