- 作者: 薬師院仁志
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/08/12
- メディア: 新書
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宮崎哲哉氏が『新書365冊』ASIN:4022731060この本、日ごろよく見ているブログでもかなり好意的に取り上げられているようなので、早速、読んでみたのだが・・
確かに、現在の日本では政界、論壇、世論ともにリベラリズム一色で、ヨーロッパのような「自由重視の社会」と「平等重視の社会」の間での選択肢がなくなっている、という指摘はその通りだと思うけど・・
何でも中国に結び付けてしまうのは僕の悪い癖だが、上のエントリでも触れたような「新左派」と「新自由主義」という現在の中国における思想的対立は、日本に比べはるかにフランスにおける「右派」と「左派」の対峙の状況に似ているような気がする。すなわち、市場メカニズムの徹底と「小さい政府」の実現、国有企業の民営化と地方分権の推進、さらに市民の表現活動の自由化、などを掲げる右派=新自由主義者と、中央政府による再分配の強化による「平等な社会」を目指し、その実現のためには国民にある程度の「不自由」を強いてもやむをえないとする国家主義・中央集権主義者としての「新左派」、という具合である。
もちろん、思想的対立があるといってもそれが国民の投票によって「選択」されるというという仕組みには全くなっていないわけだし、「中国と状況が似ているね」などと言ったらフランス人からは確実に嫌な顔をされそうな気はするけど。