梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

グローバリゼーションと不平等・貧困−最近出版された英語の本のリスト(ただし網羅的ではない)−

 というわけで昨日のエントリで予告したようにこちらで目に付いた関連本をとりあえず並べてみます。

World Development Report 2006: Equity And Development

World Development Report 2006: Equity And Development

昨日のエントリ参照。経済発展と分配の問題に関してしばらくはこれが基本文献になりそう。


The End of Poverty: Economic Possibilities for Our Time

The End of Poverty: Economic Possibilities for Our Time

 ボノが序文を書いたりしているのでそこそこ話題になった、のかなあ?少なくとも日本のネットではあまり取り上げられていないようだけど。こちらに簡単な内容の紹介あり。表紙がなんとなくStiglitz=Charltonの'Fair Trade for All' に似ている(未購入)。


Globalization in Historical Perspective (National Bureau of Economic Research Conference Report)

Globalization in Historical Perspective (National Bureau of Economic Research Conference Report)

 タイトルの通り、「グローバリゼーション」を19世紀後半以降の歴史的な過程の中でとらえその経済的な帰結を出来るだけ数量的に把握しようとする試み。なにしろ大部だし、中には大したことのない論文も混じっているんだろうけど、リンダートとウィリアムソンの'Does Grobalization Make the World More'という論文は必読だろうか。


Globalization and Egalitarian Redistribution

Globalization and Egalitarian Redistribution

 途上国のグローバリゼーションと所得分配に関する論文集。編者のバーダンは「開発のミクロ経済学」の第一人者でUCBの教授。ボウルズはハーバート・ギンタスと組んで教育問題の政治経済学分析などを行っていたラディカル派の経済学者として知られるが、最近は進化経済学や制度分析のようなことをしているらしい。そうすると、Michael Wallersteinさんというのはあのウォーラステインの関係者か?と思ってちょっと調べてみたけど結局わからなかった。収録論文の中では民主制と経済発展・分配の平等との関連を扱ったものが面白そう。


Worlds Apart: Measuring International And Global Inequality

Worlds Apart: Measuring International And Global Inequality

 これはちょっとお勧め。著者のミラノヴィッチは昨日取り上げたブルギニョンなどと並んで途上国における貧困や不平等の問題に詳しい世銀のエコノミスト。本書では、各国間の一人当たりGDPの格差や途上国内での所得分配の動向に関する基礎的なデータがわかりやすくグラフや表の形で整理されて豊富に掲載されている。たとえばこういった議論の前提となっているような事実関係をしっかり抑えておくには大変役に立ちそうな本だ。


Globalization, Poverty and Inequality: Between a Rock and a Hard Place

Globalization, Poverty and Inequality: Between a Rock and a Hard Place

 この著者については何も知りませんが、とりあえず書店で目に付いたのであげておきます(未購入)。しかし中国とインドが先頭になってロープを引っ張っている表紙の絵は、何というかわかりやすすぎ 笑。

 このほか、

The Moral Consequences of Economic Growth

The Moral Consequences of Economic Growth

 スティグリッツがForeign Affiarsで書評で取り上げたり、米国内でも何かと話題になっているこの本も、グローバリゼーションと分配の問題についてかなりのページを割いている(未購入)。