梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

ハーバードの図書館と日本経済関連本 

 ご無沙汰です。ホテルの無線LANがあるときから突然つながらなくなり人を呼んで治してもらうのも面倒なのでそのまま放置してました、すみません。ボストンはとにかく寒くてとても外をぶらぶら歩き回る気分になれなかったので、めあてのセミナーに出席したほかはほとんどボストン美術館ハーバード大のイェンチン(燕京)図書館など建物の中にこもってすごした。食事の時だけは当然のごとくチャイナタウンに足を運んだけれど。
 燕京図書館は噂には聞いていたけど日本語と中国語の書籍が想像以上に充実していてしかも全て開架式でとても使いやすい。紹介状なしでもこちらでのIDを見せただけで入館証を作ってもらえ、またコピーが安く自由に出きることもありがたい。研究に関する調べ物などは日本にいるときよりすっと効率よくできそうである。まあ、日本語・中国語の書籍があまり充実しすぎていると逆に英語圏でしか出来ないことをやろうとする気がうせそうな気もするので、こちら(UCB)に来たことを激しく後悔しているというわけではないけれども。

 さて、その燕京図書館の経済関係の本棚を眺めていて気がついたのだが、専門書以外に時論的なものもかなり入っているはいいのだが、少なくとも近年の日本経済に関する書物のセレクトにはどうも一定の偏りがみられるようだ。要するにいわゆる構造改革を重視する立場の本が目立ち、リフレ政策の重要性を説くものがほとんど見当たらなかったのである。印象だけではなんなので、帰ってきてからインターネットのハーバードの図書検索システムを使って「構造改革」で検索してみた結果が下記の通り。
http://lms01.harvard.edu/F/YH7N21CH3HDXYBIJQ6BCIYKYNU8VHQJI3HUJQ2VARKD8D3EBV1-58894?func=find-b&find_code=WRD&request=%E6%A7%8B%E9%80%A0%E6%94%B9%E9%9D%A9

うーむ。

 また検索ページのSearch TypeのところでJapanese Authorを選択すれば著者名での検索も出来るのだが、ここでも、例えば「竹中平蔵」「金子勝」がそれぞれ10件づつヒットするのに、「小野善康」が1件もヒットしないなど、かなりの偏りがみられるような・・というわけでお時間と興味のある方は他の気になるエコノミストの名前(あるいはご自分のお名前)も引いてみてください。
 以上、このことについていろいろ考えをめぐらせないでもないのだが、とりあえず事実の指摘のみということで。