梶ピエールのブログ

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馬賊と『諸君』の右傾化(ってもともと右だろ?)

渋谷由里『馬賊で見る「満洲」 張作霖のあゆんだ道』(講談社選書メチエ 317)渡辺龍策の名著(『馬賊中公新書)が長らく絶版状態だったことを考えると、この分野における貴重な啓蒙書の出版といえるだろう。『諸君!』3月号に掲載の三浦小太郎(この人はいつも渋い書物を的確に書評してくれる)の書評も参考になる。

 その『諸君!』だが、朝日VS.NHK騒動の特集を組むのに大変だったようで、サイトの更新もギリギリだったが、出来上がった誌面をみると見事に懐かしいアキタカ(明らかにタカ派)の右派論壇誌に回帰していた。この中に稲葉さんの論考が混じっていたら相当浮きまくっていただろう。よかったですね、次号回しになって(>稲葉先生)。

安部=中西の対談とか西村幸祐とか、八木秀次藤原帰一批判とか、とりあえずスルーしてよいものばかりだが(攻撃材料を探したい場合は別だが)、秦郁彦による一連の事件の詳細な整理だけは「女性国際戦犯法廷」擁護派も一応目を通しておくべき内容かと。