梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

日中歴史共同研究について

Takepuさんのブログより。

日中の有識者たちが進めていた日中の歴史についての共同研究が終了、31日、報告書が公表された。日本のマスコミは南京大虐殺の犠牲者数について、日本側は最大20万人から数万人、中国側は南京国防部軍事裁判の判決などを基に、従来からの30万人を譲らず、これによって歴史認識の違いが浮き彫りになったなどと報じているが、これは最初から分かっていたこと。特に日本側が南京大虐殺について、殺戮を行った日本軍側に責任があると認め、これが日中の共通認識になったわけだ。あくまでも犠牲者数において見解が異なっているだけ。これは、前回、このブログでも紹介した、中国側の事情があるわけで、今回、委員会の日中の有識者たちは大きな仕事をしたと思う。写真は南京大虐殺祈念館。鐘の影に「300000」の数字が見える。これを日本に言われたから、はいそうですか、と変えられないのは分かるだろう。

 また、某新聞は今回、中国が革命史観でない、国民党を評価する歴史観を示した、などと書いている。最近の中台接近によるものだ、とも。ただ、こうした歴史観がドラマなどに反映されるのは時間がかかるとか。笑いを通り越して脱力する。
 中国では、抗日戦争における国民党軍の貢献や役割については80年代から触れられており、映画「血戦台児庄」(1986年、楊光遠監督)ですでに描かれ、当時問題作として大変話題になった。最近の「南京!南京!」でも、南京大虐殺を描きながらも日本人兵士の戦争への苦悩を描いている。勉強してない記者が読者をミスリードするいい例だ。

 中国というと、恣意的に話を持っていこうとする報道が多過ぎる。もう少し正確に日中関係を理解してもらいたい。歴史研究はメンバーを変えて継続するそうだ。将来、日中双方が共通認識を得られるための最初の一歩になってほしい。というか、中国で明らかにされていない現代史の陰の部分が解明され、明らかにされることを望む。

この問題については本来スルーするつもりでしたが、卓見だと思ったので思わず紹介しました。これに付け加えることは何もありません。