梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

『中国の闇』

中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国

中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国

 この著者の「出世作」である上の本のオリジナル版は1997年に出たのだけど、改めて読んでみるとその先駆性には脱帽するしかない。その後「激流中国」などで日本でもおなじみになった、中国の「豊かさの中での社会矛盾」に鋭く迫るという路線は、すでにこの本のなかでほとんどのレールが敷かれていた、といってもいいかもしれない。

中国の闇―マフィア化する政治

中国の闇―マフィア化する政治

  本作も土地収用問題と地方政府との深い結びつきを論じたところ(5章)などはよくまとまっていて参考になるのだが、やはりアメリカに渡ってから発表された前作(『中国の嘘』)と比べても、ネットなどで入手可能な既知のトピックが多く、かなりインパクトが落ちているように感じるのは私だけ?