梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

まもなく再放送が始まりますが

 「激流中国:チベット 聖地に富を求めて

   テーマを「カネと伝統文化」に絞り、ナレーションなどによる状況説明を最小限にすることで当局の検閲をかわし、それでいて銭ゲバ社長とその傍若無人ぶりを苦々しく思う現地生まれの漢族スタッフ、貨幣経済化の流れに乗ろうとしてうまくいかない人々、流れに組み込まれることを拒否する人々、といったマジョリティ・マイノリティそれぞれにおける「変化」への反応の多様性と、それゆえに生じる問題の複雑さとを鮮やかに描き出し、さらにはツーリズムの潜在的需要者として日本の視聴者もそういった構図からイノセントではありえないこともきちんと示唆する手腕は、お見事というよりほかはない。このシリーズのスタッフの志の高さは本物だ。