梶ピエールのブログ

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「儒教圏」キター!

 ウチダ先生のエントリに端を発しプチブームの様相を呈している「儒教圏」であるが、こういうのを欧米人が言い出してそれが日本に(逆)輸入されるという構図には強い既視感が。たとえば、かつてこんなものもありました。
 
レオン ヴァンデルメールシュ (著), 福鎌 忠恕 (翻訳)『アジア文化圏の時代―政治・経済・文化の新たなる担い手』ISBN:4469290637

序論 漢字文化圏の咋日・今日
第1部 経済的局面(独特な経済成長の活力
同一構造の経済発展)
第2部 政治的局面(日中関係 和解と緊密化は民衆の意欲
朝鮮半島の諸問題 連帯への高まる気運
中国、台湾、香港、澳門の再統一
中越危機 鍵握る中ソ関係)
第3部 文化的局面(共有する最善のメディア―漢字
儒教の伝統とそのルネッサンス)
結論 新しい文明形態の出現

最善のメディアである漢字を共有し、儒教伝統のルネッサンスと経済発展との相乗作用によって、アジアの地に新しい一大文明形態が出現する。西欧によって作られた東アジアの敵対関係は、今や漢字文化諸国民みずからの意志によって、和解と連帯の方向へと進路を変えている(「BOOK」データベースより)。

 「気宇壮大」というよりは「使い古されたアイディアの焼き直し」のような気が・・
 一ファンとしてはウチダ先生には川勝平太みたくなって欲しくはないのだが。


参考になりそうな本:

Wm.T. ドバリー (著), 山口 久和 (翻訳)『朱子学と自由の伝統 』平凡社選書ISBN:4582841074

後藤 末雄 (著), 矢沢 利彦『中国思想のフランス西漸』東洋文庫 (144)ISBN:4582801447