梶ピエールのブログ

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 『エコノミー朝鮮』という、『朝鮮日報』系列の経済週刊誌に『幸福な監視国家・中国』についてインタビューしていただきました。インタビューの内容については日本語と英語でやり取りしていたので、以下にその内容を一部だけ紹介します。

中国の民主化熱気が消えた背景として、柔らかい検閲を挙げた。

 習近平時代の言論統制術の核心は検閲に気づかれないようにする不可視化にある。
著者には本人の文が見えるが、他の人には文が見えないように世論拡散を遮断する。 時には中国政府の主張を伝える動きを動員し、初期に世論をつかむ。
一時、社会問題を批判する文章でいっぱいだった中国のインターネット空間が、今やエンターテインメント中心の世界に変わった。


中国共産党は市民の一挙手一投足を監視するビッグブラザー(BigBrother·巨大監視権力)なのか。
中国が1984(ジョージ·オーウェルの小説)のビッグ·ブラザーのような統治をするとは思わない。
テンセント·アリババなど色々なプラットフォームと地方政府が個人情報を分散して管理する。 時には中央政府の意図とは違ってデータが使われたりもする。
あえて例えると、中国政府と中国国民は「羊飼いと羊」だ。 中国政府は個人情報には関心がない。 集団に関心がある。
羊の群れが望む方向に行けば干渉しないだろうし、「誤った」方向に行けば、どうにか彼らの行動を変えようとするだろう。



中国政府が統治術が日増しに洗練されているが、弱点はあるのか。

 中国共産党は民意を見極めて政策を決めるが、一度決定すれば外部のいかなる批判にも変更しない。
オミクロンの拡散でゼロコロナ政策を変更すべきだったが、共産党はそうしなかった。 これは明らかな弱点だ。
中国のコロナ対策の功罪については、「幸福な監視国家、中国」の共著者であ
るジャーナリストの高口康太が最近出した「中国コロナ封じの虚実」と題する本
で詳しく論じている。