中国の「リベラリズム」「リベラル派」というと、自由主義的な経済改革を標榜する、すなわち「ネオリベ」のことね、という理解がされがちだったのですが、市民の政治参加を目指す、政治的なリベラリズムを追究してきた知識人も決して無視することは出来ません。この度、日本ではそれほど知られていない、現代中国における政治的リベラリズムの思潮について広く紹介する重厚な論集が、藤原書店から出版されます。私もなぜか「『帝国論』の系譜と中国の台頭」という一文を寄稿しています。
現代中国のリベラリズム思潮 〔1920年代から2015年まで〕
- 作者: 石井知章
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2015/10/23
- メディア: 単行本
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以下、藤原書店ウェブサイトより。
中国よ、どこへ行く?
リベラル・マルクス主義からコミュニタリアニズム、社会民主主義、民主社会主義、さらにはリバタリアニズムまで視野に入れている現代中国のリベラリズムであるが、一元化された独裁的権力のコントロール下で「反体制派」として一括りにされ、一部しか日本に紹介されてこなかった。その多面的な全体像を、中国国内外で活躍している主要なリベラリストの論文、日本人研究者の関連テーマの論文から浮かび上がらせる。
跋 「公的自由」と人間的幸福 子安宣邦
序論 現代中国におけるリベラリズムと「普遍的近代」 石井知章第1部 中国におけるポスト文革時代のリベラリズム
文革から天安門事件の時代を生きて 徐友漁
九〇年代の社会思潮 徐友漁第2部 現代中国におけるリベラリズムの言説空間
中国リベラリズムの「第三の波」 栄 剣(本田親史訳)
中国新左派批判――汪暉を例にして 張博樹(中村達雄訳)
中国的文脈におけるリベラリズム 劉 縕(李妍淑訳)
最近十年間の中国における歴史主義的思潮 許紀霖(藤井嘉章・王前監訳)
「前近代」についての研究の現代的意味 秦 暉(劉春暉訳)
中国における憲政への経路とその限界 張千帆(徐行訳)
リベラル左派の理念 周保松(本田親史・中村達雄・石井知章訳)第3部 現代日本における中国リベラリズムの言説空間
劉暁波と中国のリベラリズム 及川淳子
「帝国論」の系譜と中国の台頭 梶谷 懐
西洋思想と現代中国のリベラリズム 王 前
一九三〇〜四〇年代中国のリベラリズム 水羽信男
「秘教的な儒教」への道 緒形 康
現代中国における封建論とアジア的生産様式 福本勝清
K・A・ウィットフォーゲルと近代 石井知章
[附]中国現代史年表