梶ピエールのブログ

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参考文献

 このところ

10万年の世界経済史 上

10万年の世界経済史 上

10万年の世界経済史 下

10万年の世界経済史 下

 などグローバル・ヒストリーの研究成果がちらほら日本語に訳されるようになっているが、グローバルヒストリーの視点からアジアの経済発展を考えなおす、という点ではなんと言ってもこの本が白眉でしょう。

比較経済発展論―歴史的アプローチ (一橋大学経済研究叢書)

比較経済発展論―歴史的アプローチ (一橋大学経済研究叢書)

 村上泰亮的な開発主義のパラダイムの限界があらわになり、かといって新古典派のように放っておけばどこでも市場経済は勝手にすくすくと育つと考えるほど楽観的にはなれず、さりとていまさら従属理論やその亜流などにしがみつく(ポメランツなどにはややその傾向ありだが)わけにもいかぬ、という状況の下で、「スミス的経済成長」およびマーシャルの収穫逓減の理論に実証的な歴史学の視点から新たな光をあてた上の書は、現在ならびに今後の中国の経済成長が持つ意味を、政治経済学的に考察する上でも大いに有益かと。いずれまた詳しい検討をブログにあげたいと思っています*1

 なお、ポメランツの「大いなる分岐点」をめぐる議論のまとめについては、以下の本が簡便かと。

ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

*1:厨先生のメモならびにそこに引用されている久松さんのブログ記事も参照。