梶ピエールのブログ

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アジア的生産様式をめぐって

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http://www.21ccs.jp/soso/chinateki/chinateki_20.html
http://www.21ccs.jp/soso/chinateki/chinateki_21.html

単一化した権力のもとで長く暮らしたものは、権力を分け合うことが難しい、或いは不可能である。逆に多元的な権力のもとで暮らす人々は、当たり前のことだが、権力を分け合うことができる。つまり、中東欧の社会主義国の人々は--党員も含めて--、1989年、自分たちが以前、権力を分け合う社会で暮らしていたことを思い出したのである。1989年の東欧革命は、一種の「大政奉還」(岩田昌征)であったとの議論は、その点において説得的である。
 マルクス主義とは本来西欧の思想であった。それゆえ、誰も、権力を分け合うことができない社会での革命のあり方などを考慮していなかったし、当然それを理想にするはずもなかった。もし革命の独裁ということが必要とされるなら、当然それは、権力を分け合う社会における独裁、すなわち多元的な権力のもとにおける独裁であり、単一権力のもとにおける独裁(専制)などではなかった。