梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

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上記の小田中先生のブログより。

それにしても、「西洋近代主義は、論理必然的に植民地主義に転化する」云々といった言説を弄しつつ提示してきた福澤像が、こんなに簡単に(といっても、もちろん膨大な資料分析が必要だったに違いないが)覆されてしまって、それでいいのかポスト・コロニアリスト。もっとも、個人的にはポスト・コロニアリニズムには以前から違和感を禁じえなかったので、べつにいいんだけど。

 小田中先生の意見には100%同意するのだけど、いくら緻密な実証研究によってドグマが覆されたように見えても、結局彼ら/彼女らの「政治主義」が変わらない限り同じような言説はいつまでも再生産され続けるのではないか、などといささか絶望的な気分になっている今日このごろ。というのも『現代思想』6月号の例えば坂元ひろ子さんの言説などを読んであまりに強烈な「負け気分」に襲われたところなので。
 まあ、この人たちの場合「中国の現状に(少しでも)批判的な目を向けることは論理必然的に日本の右傾化の助長に転化する」と、若干主張に違いはありますが。ただこの業界の場合なかなか「べつにいいんだけど」で済ませてしまえないところがつらい。なんてったって、日本の現代中国研究を代表する学会の理事長だった人の発言だもんね。
あ、平山さんの本は僕も遅まきながら読んだのですが、とても面白く、小田中先生の感想に付け加えることは何もありません。