梶ピエールのブログ

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理念型としての「中国」

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

 この本は最近店頭に並んだばかりだが、早速ネットなど多くの人が感想を論じている話題の書である。古代以来の日本の歴史を「中国化」と「脱中国化=江戸化」という二つの異なる統治原理の間を揺れ動きながら形成されてきたものとして捉えつつ、現代の政治・経済的な混迷を世界が「中国化」する中で日本がうまく対応できないところにあると診断する、明確な視点に貫かれた刺激的な日本社会論ということになるだろうか。

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いただきもの

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

 上のエントリでも書きましたが、「清末以降の中国の近代化の歴史をどう捉えるか」は「日本が本当に中国化するかどうか」を考える上でも非常に重要である一方で、高校教科書レベルの常識と最先端の研究成果との乖離が著しい分野だと言えるでしょう。その意味で、この岡本隆司氏の新著はここで紹介した吉澤誠一郎氏の著作と共に、一般の人が清末の歴史を学び直すための格好の入門書だと思います。