梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ報告書について

http://sankei.jp.msn.com/world/china/091021/chn0910211209002-n1.htmより

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は21日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチで7月に起きた大規模暴動に絡み、多くのウイグル族の男性が当局によって拘束され、依然として行方不明になっているとする調査報告書を発表した。

 報告書は、暴動の翌日と翌々日の2日間に拘束された43人の若者が、いまだに行方不明だとした上で「調査結果は氷山の一角にすぎない」と、さらに多数の行方不明者がいると指摘。

 拘束時には、武装警察隊員らが周辺を封鎖した上で家宅捜索し、若者を見つけると全員をトラックに乗せて連れ去ったケースもあったという。同団体は「家族も、生きているか死んでいるかすら分からない状況。中国政府が法を守っていない証拠だ」と強く批判した。(共同)

 ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本語ページにおける解説はこちら。また報告書はこちらからダウンロード可。英文で44ページほどだが、中国語のサマリーもある。海外では、NYTBBCがかなり詳しい報道を行っている。

『財経』をめぐる「旧聞」

http://www.asahi.com/international/update/1020/TKY200910200475.htmlより

【北京=峯村健司】政府批判や高官の汚職に関する調査報道で定評がある中国の有力経済誌「財経」で、社長を含む約60人の社員が大量辞職したことがわかった。同社関係者によると、当局の報道規制や株主の編集への介入などへの抗議だという。辞職は全社員の半数を超える見通しで、現体制での雑誌存続は困難となった。

 98年に創刊した同誌は、部数は約23万部で社員は約300人。03年に北京市当局が現場の医師らに新型肺炎SARSの「隠蔽(いんぺい)」を命じたことを暴露するなどスクープを連発し、「独裁体制において権力監視ができる数少ない組織」(中国主要紙記者)と評されていた。

 四川大地震ウルムチ騒乱でも当局発表に頼らない独自の報道を展開してきた。しかし、当局が今月1日の建国60周年に向けて報道統制を強めるにつれ、「報道の独立性を保つことができなくなった」(同社関係者)として、9月末から辞職する社員が相次いだ。
 鋭い当局批判を繰り返し「中国で最も危険な女性」と言われる胡舒立・編集長も近く離職して、来年から部下らと新雑誌を創刊することを検討しているという。

『財経』の一件はもちろんショックだけれども、むしろここで気になるのは、少しでもネットで中国のニュースを追いかけている者にとってはむしろ「旧聞」に属するこの件をなぜ今ごろになって報じるのか、という点である。欧米のメディアでは9月の段階ですでにその変調がささやかれていたし、社員の大量退職の件もすでに1週間前にFTNYTをはじめ、詳しい報道をしていたメディアがいくつもあったというのに・・・あともう一つ気になったのは「四川大地震ウルムチ騒乱でも当局発表に頼らない独自の報道」っていうけど、四川地震はともかくウルムチ事件でそんな目を見張るような記事ってあったっけ?