梶ピエールのブログ

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高原基彰『不安型ナショナリズムの時代』

今更いうまでもないと思うが、本書は近年高まりを見せている日韓中のナショナリズムを「開発主義」の時代が去った後の社会の流動化、特に都市中間層をとりまく状況の変化によって引き起こされた一種の「疑似問題」としてとらえるという斬新な見取り図を描いて大きな話題を呼んだ。
 僕も以前 こんな見立てをしたぐらいだし、日中のナショナリズム(韓国についてはよくわからないが)に関する大枠の理解に関しては著者とそう変わらない、といっていいのかもしれない。

 しかし、各国の状況に関する具体的な記述になるといろいろと引っかかる点が出てくる。そしてそれは必ずしも枝葉末節として無視してよいというわけでなく、一つ一つが積み重なって最終的にはかなり大きな結論の違いに結びついてくるという気がする。日本に関する記述についてはすでに稲葉さん(id:shinichiroinaba:20060413#p1)や韓リフ先生(id:tanakahidetomi:20060605#p2)の指摘があるし、韓国の事情についてはほとんどわからない。というわけで僕はやはり中国のところについてだけ感想を述べよう。

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