梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

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 著者よりご恵投いただきました。近代以降におけるアジア社会における「商標権」概念の伝播と受容、およびその過程で生じた西洋由来の製品の商標権侵害の歴史を、日本と中国における事例とを重ね合わせることで重層的にとらえようとした、刺激的かつ重厚な著作です。

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 『週刊東洋経済』のコラム「中国動態」に、「『ブームに殺到する中国EV』を正しく恐れよ」という記事を寄稿しました。海外輸出の急速な伸びに対する欧米の反発が高まる中で、日本でも中国製EVに対する関心が高まっていますが、そのどこに「脅威」を感じるべきなのか?8月に行った現地調査の結果を踏まえて論じています。

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 10月16日発売の『週刊エコノミスト』10月24日号の特集「知らないとまずいBRICS+6」に、「BRICSの中核を占める中国が『一帯一路』を見直し」という記事を寄稿しています。BRICSが中国が主導で発言を強めてきた背景や、一帯一路の最近の動向について書いています。

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 私が監訳者としてかかわった周其仁氏の論文集『現実世界と対話する経済学』が白桃書房より11月初旬に刊行されます。2017年に北京大学出版社より刊行された『産権与中国変革』の全訳で、彼の1980年代から2010年代までの主要な論文をほぼまんべんなくフォローしています。周氏については、農村における制度改革をはじめ、中国の市場化改革に学術面から大きな影響を与えたにもかかわらず、これまで日本でその業績が本格的に紹介される機会はほとんどありませんでした。今回の出版では残念ながら専門家を対象とした価格設定にせざるを得ませんでしたが、今回の邦訳の出版ができるだけ多くの日本の読者が周氏の経済学に触れる機会になってくれればと思います。


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周其仁氏は、中国の市場化改革路線を理論的に主導してきた高名な経済学者であるが、日本ではあまり知られていない。ロナルド・コースが嚆矢となった新制度派経済学に強い影響を受ける一方、地に足の着いた議論に大きな魅力がある。

本書は彼の代表的な論文の集成で、初の邦訳刊行である。

中国が劇的な経済成長を果たしたことに際し、農地や企業の所有権のあり方が変わることで、どのように経済は活性化したのか、人的資本理論も駆使し読み解き、そのダイナミズムを描き出す。

特に、第3章から第5章までで論じられる農村改革は、本書の白眉の一つである。かつて人民公社などの制度の下で営まれ、十分な生産を行うことができなかった集団農業が、農家ごとの請負生産に変革されていく過程が、農民からのボトムアップによる行動を起点とし、各レベルの政府や行政の間でなされた大量で複雑なインタラクションを経て実現したことなどが、精緻に読み応えある形で記述されている。

さらに、中国の医療における「医者に診てもらうのが難しい上、医療費が高い」という課題や、高度成長が終焉を迎える中、今後の中国の発展はどのように実現したらよいのかなど、さらなる改革のための提言も行う。

中国経済を中心に幅広く発信を行う梶谷懐氏(神戸大学大学院教授)を監訳に迎え、『現代経済学』(中公新書)等の著作を持つ瀧澤弘和氏(中央大学教授)も推薦する貴重な文献!

第1章 現実世界における経済学
第2章 人的資本の財産権とその特徴
第3章 農村改革:経済システムの変遷を回顧する
第4章 農民、市場と制度改革
第5章 農地の財産権と土地収用制度
第6章 市場における企業
第7章 「コントロール権という報酬」と「企業家がコントロールする企業」
第8章 公有制企業の性質
第9章 企業理論と中国の変革
第10章 競争、独占と規制
第11章 病気になったら、誰が面倒を見てくれるのか?
第12章 貨幣制度と経済成長
第13章 体制コストと中国経済

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 まもなく発売になる『Voice』11月号に、国際政治学者の廣瀬陽子さんとの対談記事「反欧米にこだわるのは中露だけ」が掲載されました。「グローバルサウスという幻想」という特集の一つの記事として、中国やロシアがBRICS新興国という枠組みをこれまでどう戦略的に利用していたのかを振り返っています。

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 監訳者である石井知章さんにご恵投いただきました。現代中国を代表するリベラル派知識人である栄剣氏による深い教養に裏打ちされた評論集です。とくに「重慶モデル」や汪暉に対する仮借のない批判は圧巻。

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9月4日(月)発売の、『週刊東洋経済』9月9日号のコラム「中国動態」に、「中国経済の停滞は『権威主義』の敗北といえるのか」という記事を寄稿しました。中国経済の低迷が誰の目にも明らかになるなか、英語圏では、現在の中国経済の変調を「権威主義による短期的な成長の終焉」だとする論調も盛んです。権威主義体制下での自由な経済活動という危うい綱渡が限界に来たというのですが、この議論に説得力はあるのか、検討しています。

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