版元よりご恵投いただきました。気鋭の批評家による本格的現代中国論です。
『理大囲城』と「公平な観察者」について
先日刊行された『ゲンロン12』の東浩紀氏(以下敬称略)の論考「訂正可能性の哲学」を読んだ。これで、ゲンロン10から3号分の彼の長編評論を、比較的短期間のうちに読んだことになる。もちろん扱っているテーマは異なるのだが、そこに一貫する姿勢として、「中途半端な立場」からの社会へのコミットメントをどう倫理的に肯定するか、という課題が繊細な言葉で語られているように感じた。
僕はこれまでにも東の主な著作は読んでいたし、自分の書いたものにもしばしば引用はしてきたのだが、熱心な読者かというと必ずしもそうではなかった。『観光客の哲学』も出た時に読んでそれなりに面白い、と感じたものの、特に自分の仕事に結びつけて深く読み込むということはせず、そのままになっていた。
それが、ここしばらく、強い関心を持って読むようになったのは、やはり、中国研究を取り巻く状況がこの2,3年の間にそれまでとは大きく変わってしまったことと大きく関係している。
続きを読むいただきもの
東京工業大学附属科学技術高等学校で行った授業をもとに大幅加筆したという池上彰さんの「世界の見方」シリーズ、中国の改訂版です。後半ではデジタル大国化に関する監視テクノロジーなど、『幸福な監視国家・中国』と重なるような話題も多数盛り込まれています。