梶ピエールのブログ

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ニューズウィーク日本版』のウェブ連載「中国の『監視社会化』を考える」、第4回目が公開されています。

www.newsweekjapan.jp

このように、情報技術の進展を背景とした個人情報の保護をめぐる法規制のあり方には、欧州と中国との間に鮮やかな対比がみられます。すなわち、市民的公共性の伝統を持つ前者で制定されたGDPRでは市民自らが定めた「ルールとしての法」によって個人の尊厳を脅かすものを縛ろう、という発想が濃厚です。それに対し、儒教的な「天理」を通じた公共性の実現、あるいは有徳な権威者によって導かれる「公論としての法」の伝統を持つ後者では、個人情報をめぐる法規制もあくまで「民意(=天の意思)」を代弁した共産党政権が市民の代わりに民間IT企業の暴走を止める、という姿勢が前面に出ているように思います。