1月7日(月)発売の、『週刊東洋経済』1月12日号のコラム「中国動態」に、「新疆ウイグル自治区で復活する『労働教養所』」という記事を寄稿しました。
新疆ウイグル自治区の各地に建設された、「再教育キャンプ」と呼ばれる大規模な収容施設とその非人道的な状況について、昨年11月、アムネスティ・インターナショナルの主催で、カザフ国籍を持つウイグル人実業家、オムル・ベカリ氏の講演会が東京と大阪で行われたこともあって、日本でも報道される機会が増えたように思います。
www.amnesty.or.jp
この問題が国際社会に衝撃を与えている理由の一つは、「再教育」のための施設にオムル氏も含め、著名な大学教授やジャーナリスト、作家など社会の一線で活躍する人々が多数収容されていることにあります。しかし、全体で100万人規模ともいわれる施設への被収容者は、もちろんそういった社会的に発言力をもった著名人だけではありません。
12月中旬になり、AP通信ならびにニューヨークタイムズ、フィナンシャルタイムズ、テレグラムなどの有力メディアが、新疆南部に建設された収容施設とみられる建物の近くに工場が次々建設されており、施設に収容されたウイグル人やカザフ人などテュルク系住民がそれらの工場でアパレルの縫製などに低賃金労働に従事させられている、という報道を相次いで行いました。このことは、「再教育キャンプ」がかつての「労働教養制度」今にきわめて類似した施設であることを示すとともに、今後の新疆ウイグル自治区の産業構造の中にこのような収容施設を通じた強制労働が長期にわたって組み込まれていく、という恐ろしい状況を予測させるものになっています。さしあたっては、この問題に関する報道をしばらく丹念に追っていきたいと思います。
www.nytimes.com