梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

お仕事のお知らせ

 「現代中国――現在と過去のあいだ」の連載第15回を更新しました。一応今回が最終回となります。

http://editionhomoviator.blogspot.jp/2014/12/kajitaniend.html


 公開が選挙の翌日になることは全然意図していなかったのですが、今回の文章の以下のような部分は昨日の衆議院選挙を経ても全く修正する必要がない、どころか今後ますますこのような「ねじれ」が顕在化していくのではないか、という気がしています。

すなわち、集団的自衛権を容認し、将来の改憲を目指す人々は、自らはⅠの範囲で言論活動を行っていると認識し、対立する護憲派の平和主義は対中融和の姿勢と不可避だと見なしている。それに対しⅣの枠内にとどまって議論を行っていると自認する護憲派は、改憲派こそⅡの枠内、すなわち排他的な国家主義と一体になっていると見なしている。つまり、どちらもその自己・他者イメージが食い違ったまま議論を行っているのである。

改憲・護憲いずれの陣営も、自らの立場と「アジア」との関係を主体的に認識することができず、反対する陣営に「アジア」的なものを属性として貼り付け、その仮構された「アジア」性を互いに攻撃し合っているのが現状である。このようなねじれた状況から、そもそも生産的な議論が生まれるはずはない。


 最後の部分は現状を憂いてばかりでもしょうがないのでなにかポジティブな展望を出そう、ということで付け加えたものですが、基本的には↓この本の遠藤誠治さんの議論に乗っかっています。


 遠藤さんの問題意識、ならびに(本文中にも少し言及した)細谷雄一さんとの立ち位置の違いについては、このインタヴュー記事 がわかりやすくまとまっているかと思います。ご参考まで。