朝日出版社第二編集部のブログ「現代中国:現在と過去のあいだ」を更新しました。「連載」と言うのがはばかられるほど前回から間が空いてしまいました。すみません。
第4章 日本と中国のあいだ――「近代性」をめぐる考察(2)――
これぐらい間隔が空いてしまうと、前の連載を書いていたときに次に何を書こうと考えていたのか忘れてしまうもので、正直なところ前回の文章で提起したけど結局ほっぽり出したままになってしまった論点もあります(例えば「現実の中国における資本主義の展開を、理念化された「中国」との関係でどのように考えていけばよいのか、という点など)。すみません。これについてはいずれ本にする(なるのか?)時に加筆してなんとかフォローするようにします。今回の連載では結局、台湾のヒマワリ学生運動に続けて起こったオキュパイ・セントラル運動の動きを受けて、資本主義の展開ではなく民主主義の展開を、理念化された「中国」との関係から考える、という内容になりました。
ちなみに、香港のオキュパイ運動については、以下のようなことになっているようです。
民主派排除へ=17年の香港長官選(時事通信 8月28日(木)15時4分配信)
【香港時事】中国全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の指導部は27日、次回(2017年)の香港行政長官選挙で「普通選挙」を導入する選挙制度改革に関する決定案を、北京で開会中の常務委会議で審議することを決めた。28日付の香港各紙によると、決定案には民主派の立候補を事実上認めない仕組みが明記されている。
民主派は立候補が自由な「真の普通選挙」を要求し、受け入れられない場合、金融街の中環(セントラル)地区を大群衆で占拠して抗議すると警告。全人代常務委は31日に決定案を可決する見通しで、民主派は9月にも中環占拠を実行するとみられる。
決定案は立候補認定条件について、各界代表から成る指名委員会で過半数の推薦が必要と規定。指名委は親中派が大半を占めるのが確実で、民主派の立候補は事実上不可能になる。
あと、後半部分では↓この本を全力でdisっております。上記のような話となぜこの本の批判がつながるのか。端的に言ってしまうとこの本は、理念化された「中国」と現実の中国とのギャップについて十分吟味することなしに、前者に自らの思想的な課題(近代的な国民=国家=資本を乗り越えること)を勝手に投影して持ち上げているだけだと思います。そういった理想の投影を行うのは著者の勝手ですが、それは実際に身を張って後者と格闘している人々(中国当局に活動の自由を奪われている弁護士やリベラル派の知識人)にとっては迷惑千万な話であり、いったいこの著者にその自覚はあるのか、ということにつきます。まあこれについてはいろいろな考え方があるでしょうが、とりあえずお読みいただいてからご意見なりご批判を頂戴できれば、と思います。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2014/07/24
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