朝日出版社第二編集部のブログ「現代中国:現在と過去のあいだ」を更新しました。
第2章:左派と右派のあいだ──毛沢東はなぜ死な(ね)ないのか(2)──
汪暉を目一杯disる一方で、目一杯持ち上げている銭理群著『毛沢東と中国』は、何しろ大部なので気軽に読める本ではありませんが、本物の「知識人」による洞察とはどういうものであるかを示した、毛沢東や現代中国政治を理解しようとする人であればまずは読んで欲しい名著だと思います。
- 作者: 銭理群,羽根次郎,阿部幹雄,丸山哲史,鈴木将久
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2012/12/25
- メディア: 単行本
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上記ブログ記事より
「右派」からの「民間」へのエールが『零八憲章』が西洋近代的な統治機構のチェック・アンド・バランスを重視するものだとしたら、銭の著作に込められた思想は、毛沢東の影響を受けつつそれを乗り越えようとする、左派からの「民間」へのエールだといえよう。ここで「民間思潮」は、現在中国社会の病根を、「西側諸国の介入」や「グローバル資本主義」といった「外部」の存在に求めるのではなく、「専制政治」という中国内部にそれを求める思想としてその価値が共有されているのだ。このように、異なる政治思想の「接点」となりうるという点からみても、現代中国の社会の可能性や希望は、確かにこのような「民間思潮」の中にあるのかも知れない。
ここで書いた「民間思潮」の持つ可能性、先日中国に入国拒否されたノンフィクションライターの麻生晴一郎さんが強調してきた「民間交流」の重要性と重なり合うものであることは言うまでもありません。