梶ピエールのブログ

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ザ・ポリシー・ミックス

『日本経済新聞』5月22日付記事より。

【北京=高橋哲史】中国の国家発展改革委員会は21日、昨年11月に打ち出した総投資額4兆元(約55兆円)の景気刺激策について、4月末までの実施状況を発表した。低価格住宅を21万4000戸建設したほか、445キロの高速道路が完成した。中国政府が短期間に、大規模な公共投資を集中的に実施したことを裏付ける内容になっている。

 4兆元のうち、中央政府が負担するのは1兆1800億元で、すでに2300億元を支出している。発展改革委は中央政府がこの資金で実施している事業の進ちょく状況を公表した。

 それによると、4月末までに完成したのは農村道路2万キロ、農村部の送電網4万キロ強、空港の旅客ターミナル10万平方メートルなど。重点項目の1つである鉄道整備については「黒竜江省ハルビン遼寧省大連」「湖北省武漢広東省広州」「広西チワン族自治区南寧―広州」間などで建設が加速しているとした。

 ではその間の金融政策のサポートはどうであったか?

上海銀行間コールレート(SHIBOR)のウェブサイトより

無担保オーバーナイト金利

同1週間もの金利

 なお、金利の下限が0.8%くらいのところで張り付いているのは、中国人民銀行が超過準備に0.72%ほどの付利を行っているからである。財政刺激策が発表されてからというもの、ほぼ無制限といってよいほどの流動性の供給が行われていることがこの図からわかるだろう。
 ネットでは「日本に比べて中国の回復が早いのは、社会がグローバリゼーションにより適合的だからだ」という珍説もみられるが、ナンセンスというよりほかはない。中国の回復が早かったのは財政拡大と金融緩和を大胆かつ迅速に行ったからであり、他にどんな理由づけが必要だというのか。