梶ピエールのブログ

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香港リベラル派知識人のチベット論

 世界各地で聖火リレーへの抗議行動が起こり、それに対して中国国内からの愛国主義的な反発が強まるという現象が繰り返され、事態はさながら「文明の衝突」の様相を見せている。チベット人に同情的な国際世論と一般的な漢民族の意識とのギャップは絶望的なほど大きい。しかしながら、漢民族の知識人の中には、少数ではあるが冷静かつ真摯にこの問題に向き合おうとしている人々も確実に存在している。

 アモイのPX工場建設反対活動などで有名な連岳氏のブログはその代表的な存在だろう。同氏のブログでは少数民族の読者が心情をつづったメールが紹介されたり、民族問題をめぐる過去の中国政府の姿勢の矛盾が批判されたりと、いわゆる「愛国主義」とは明確に距離を置いた、リベラルで活発な議論が展開されている。

 その連岳氏のブログに、香港出身の知識人、梁文道氏による「チベット問題の最大公約数」と題する論説が寄稿されている。これはチベット問題の歴史的背景から、ダライ・ラマを非難し続ける中国政府の隠された意図の分析にいたるまで、幅広い知見と民族和解に向けた真摯な態度に満ちた出色のものである。

 幸いなことに、この論説は中国の反体制知識人関係の情報にやたらと詳しい謎のブロガー・「思いつくまま」さんが達意の日本語に訳してくれているので、ぜひ一度お読みいただきたい。
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/d0f2c0a6721568bfa2b986c52837268e