- 作者: 西村克仁
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
同志社香里の先生が半年間北京の中学・高校の歴史の授業を見学した体験記。実はこの本はつい最近まで出たことも知らなかったのだが、いつも辛辣な書評で知られるnetoさんが(わりと)ほめていらっしゃったので早速購入した。今月の『激流中国』のテーマもそうだったけど、最近の中国の学校は外部からの取材を比較的自由に受け入れるようになってきているという印象を受ける。これも自信の表れだろうか。
さて、本書から受ける印象を一言でいえば、こと日中間に関する限り、いわゆる「歴史認識」というよりは「「歴史認識」認識」、つまり社会における「歴史」というものの位置づけについてのギャップのほうがはるかに深刻なのだ、ということであり、そこをあえてスルーしないで立ち止まって問題の難しさを受け止めようとする著者の誠実な態度が印象的だ。もう少し話題になってもいい本だと思う(僕が知らないだけかも知らないが)。こういった問題について、大学の先生達の議論はどうしても理念が先行しがちなので、こうした徹底して「実際にどのように教えるか」という現場からの視線にたった意見は貴重だと思う。