いや、噂にたがわず大変素晴らしい作品でした。
三峡ダム建設に伴う立ち退きというと数年前にNHKスペシャルでも一度取り上げられていたのだけど、その番組ではカメラを向けられた立ち退き家族は「国の政策なので喜んで従います」みたいなことしか語っていなかったし、移民局の職員もみんないい人で、住民のことを本当に親身になって考えています、というようなスタンスだったので、まあこの作品を見た後で改めて思い返してみるとユルユルもいいとこの番組だった。最近の『激流中国』とか『BSドキュメンタリー』ではもう少し対象との距離が縮まっているような気がするのだが、やはり現地スタッフの協力体制が強化されたのかなあ。というか、『水没の前に』がそれだけ稀有な作品なのだ、とここは素直に受け止めておきましょうか。