今晩(7日)10時よりNHKBS1で放送されたBSドキュメンタリー「汚職告発〜中国・インターネットをめぐる攻防〜」はなかなか衝撃的だった。インターネットのサイトを拠点にさまざまな中国の地方官僚の不正に対する告発を行っている李新徳氏に密着取材してその活動を追いかける、というのがその内容だ。今回番組で取り上げられたのは黒竜江省のある地方都市(富錦市)における土地開発に関する不正疑惑で、市政府が計画した農地開発プロジェクトを口実に農民から土地を強制収用し、そのプロジェクトが最終的に頓挫した後も土地を返還せず、市政府自身が土地管理会社を経営して元々のの権利者である農民から地代を徴収している、というもの。土地の強制収用をめぐる農民とのトラブルについては近年海外のメディアでもよく取り上げられており、それ自体はさほど珍しい事件ではない。しかし地方政府が不正を行う際実際にどのような行政文書のごまかしを行っているのか、あるいは政府に雇われたヤクザのような武装集団が実際に村民にどのような暴力を振るったのか、映像で克明に示されるとやはりショッキングだ。また、李氏が電話をかけて何者かを名乗るとにわかに狼狽し、苦し紛れに「私は秘書で本人ではありません」とごまかす市の役人の様子には笑えた。
しかしNHKはどうもこの番組の宣伝はほとんどするつもりがないらしくて、色々探してみても番組の内容が紹介されているのは下記のページくらいしかなかった。
http://tv.biglobe.ne.jp/20061007/P13/comment.html#Z71732210
まあでも、こういう番組を制作してくれただけで満足すべきなんだろうな。
李新徳氏については、以前ニコラス・クリストフ氏がニューヨーク・タイムズで取り上げたこともあるので、現在はかなり世界的に著名な人物になっているはずだ。しかし、クリストフ氏の記事にも書かれていたのだが、知名度が上がってからというもの李新徳氏のサイトは当局に削除されてはまた新たなサイトを立ち上げる、と言うことの繰り返しになっているらしく、彼が今どのサイトを拠点にインターネットでの活動を行っているのかはちょっとわからない(私が調べるのが下手なだけです)。ちなみに、検索する時「李新徳」では(日本のGoogleを含め)ほとんどヒットしないようなので、'Li Xinde'で引いてみてください。