ECONO斬り!さんによるリカード=バローの等価性定理の解説とその応用。
http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50032009.html
http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50032042.html
おそらく、これは以前紹介したアカロフの問題意識と深くつながっていると思うのでとりあえずメモ。
直接バローの等価性定理を論じたくだりはid:kaikaji:20051120だが、ECONO斬り!さんの問題意識に近いのはむしろ「アンとバーバラ」の話、すなわち経済学的に合理的な判断を下せる人間は実際にどの程度存在するのだろうか?という話の方だと思われる。
id:kaikaji:20051130
id:kaikaji:20051207
今のところ自分でいろいろ考える余裕と力がないのでhicksianさんのコメントを再度掲載しておきます。
アンとバーバラの件ですが、“Near-Rational Wage and Price Setting and the Optimal Rates of Inflation and Unemployment”をチラッと読み直してみた感じでは、(経済学の訓練を受けていない)一般の人々の部分均衡的な見方を示す一例として考えているようですね。
インフレ率が高まるにつれて(インフレが無視できなくなるにつれて)近似合理的(インフレのことは無視して価格・賃金設定を行うor考慮はするけどインフレ期待を完全に織り込むわけではない)であった経済主体もやがて完全合理的になってゆく。インフレ率が低い状況では近似合理的であることのコスト(=完全合理的であるときにえられたであろう利潤を見過ごしてしまうこと)はきわめて小さく、完全合理的になるだけの誘因とはならない。完全合理的であるためには情報収集等主観的・客観的なコストが必要であり、そのコストを補って余りあるほどの利得がないのであれば人は完全合理的には振舞わない。インフレ率が高まるにつれて近似合理的であることのコストが高まるために(あるいは完全合理的になることの利得が高まるために)完全合理的に賃金・価格設定を行う経済主体が増えてゆく。インフレ率が非常に高い範囲では、経済モデルが想定するように経済主体が完全合理的に行動するために垂直なフィリップスカーブが出現すると述べております。経済学を理解して完全合理的に振舞った方が利得が高いとわかっていても、インフレ率が低い状況では完全合理的に振舞うだけのインセンティブが働かない、ということになるかと思われます。
以下も参照のこと。
http://hicksian.cocolog-nifty.com/irregular_economist/cat1965717/index.html