梶ピエールのブログ

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中美気候変化論壇

 昨日・今日とカリフォルニア大バークレー校と北京大などが主催した地球温暖化を中心とする環境問題についてのフォーラムに参加してきた。なぜこういうものに顔を出したかというとプログラムを見てもらえばわかるように中国の問題がメインだったのと社会・経済問題からのアプローチも結構行われているようだったからだ。

 温暖化といえばエネルギー問題。微妙なテーマだなあと思ったが、案の定原油獲得をめぐるスーダンやイランなどとの関係など国際政治がらみの話題はきれいに議題から外されていた。まあ、できるだけエネルギー効率を高め燃料消費を抑える、という会議の目的が実現されれば、こういった国際政治上の問題もこれ以上表面化してこない、ということなんだろうけど・・・
 個々の報告は、まあ大きなシンポジウムではありがちなことだが一言でいえば玉石混交。中国の環境問題の深刻さを豊富なデータを交えて真面目に訴えていた報告も多く、それは普通に勉強になりました。

 全体として印象的だったのは、ロイヤルダッチシェルの副社長をはじめ、企業関係者によるパネル報告が多かったこと、それもグローバルビジネスに伴う環境リスクに対応するための各種保険サービスを提供できますとか、カーボンを使った環境負荷のかからない太陽電池の技術を開発しましたとか、要はみんないかに自分の会社が環境にやさしい事業を行っているか、あるいは自分の会社のサービスを利用すれば地球に優しく振舞えるかというあからさまな宣伝を行っていたことだ。
 日本でも、ジェトロなどが主催するセミナーなどで企業関係の人が講演をするケースはよくあるが、その場合でもこれほどあからさまに自社の「売り込み」をすることはあまりないと思うのだが、アメリカで企業がスポンサーについているカンファレンスってだいたいこんな感じなのだろうか。そういう企業のプレゼンテーションの後でディープなエコロジー思想に基づく報告があったりするのでなかなか頭がついていかないんだけど。

 今月の初めに参加した、法学系の研究所が主催した東アジアのコーポレートガバナンスに関するカンファレンス(しかしその実態はテーマ・報告者ともほとんど中国がメインで、それに韓国が添え物のように付いており、日本と台湾は見事にスルーというもの。会場でご一緒した方の感想はこちら)もそうだったが、こういうアメリカの大学が企業からお金を集めて(ちなみに今回のシンポジウムは無料でした)中国からたくさん人を呼び、シンポジウムの中で宣伝が行われる、という企画って最近多そうだなあ。

 おまけ。環境問題へのジャーナリズムの取り組みについてのセッションのなかで、最近の中国に蔓延する商業主義による環境破壊のエピソードとしてとりあげられていたので、先日アメリカで公開された陳凱歌監督の『無極(邦題『プロミス』)』のロケ候補地の顛末についてのスキャンダルを知った。日本のサイトではここが詳しい。

 まあ、『無極』という映画自体がカネだけはかかっているけど出来としてはお笑いネタとして楽しむ以外にどうしようもない駄作だったので、このスキャンダルについてはさもありなん、という感想しか持たないけどね。