梶ピエールのブログ

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ボノ、先進国の農産物保護政策を批判する

 現在アフリカを訪れているU2のボノが、現地の綿花農家を訪問し対話を試みるとともに、アメリカやEUの農産物保護政策を批判し、これらの先進国はアフリカなど途上国の農産物に対してもっと市場を解放するべきだという発言を行っているらしい。以下、ロイターの記事より(ハワード・フレンチ氏のブログ'A Glimpse of the World' 経由)。

In 2004-5 U.S. producers received about $4.2 billion in federal subsidies, money that impoverished West African nations say depresses world prices and ruins their economies.

The West African producers have sought for several years to give cotton special status in the World Trade Organization talks, currently stalled over broader farm issues.

In his campaigning for Africa, Bono has lobbied leaders from the largest industrialized economies for better access for Africa to the large U.S. and European markets.

On his tour, Bono has argued that the only way Africa can escape the cycle of poverty is through increased trade.

 いやー、至極ごもっともです。ボノがこれまでジェフリー・サックスと一緒になって途上国への支援増加や債務削減を繰り返し訴えており、「途上国のインセンティブを考えずに援助金だけつぎ込んでも無駄だよ」などとウィリアム・イースタリー先生から揶揄されているのは周知の通りだが、今回の発言は経済学的にみても正当な主張だというしかない。彼はこれまでにもこのような先進国の保護主義を批判する発言を行っていたのだろうか。
 もし彼が、サックスのあの本だけでなく、スティグリッツこの本も読んでこのような発言をするようになったのだとしたら、それはとても喜ばしいことだと思うのだが。